女性アスリート健康支援委員会 諦めない心、体と向き合うプロ意識

10代から自分の体に向き合おう
健やかな人生へ、無月経の啓発も課題―ヨーコ・ゼッターランドさん

 日米両国でバレーボール選手として活躍したヨーコ・ゼッターランドさんは現在、日本スポーツ協会常務理事として、女性のスポーツ参加の旗振り役を担う。協会と日本産科婦人科学会など5団体がつくる「女性アスリート健康支援委員会」の理事でもある。競技者としての体験を踏まえつつ強調するのは、年代を問わず、さまざまな形で「体に向き合うこと」の大切さだ。

 「自分の体に向き合うことは大切」と説くヨーコ・ゼッターランドさん
 女性アスリート健康支援委が今、特に力を入れているのは、スポーツに励む十代の女子選手と周囲の関係者に、体の「SOS」サインに当たる運動性無月経に関する知識を広め、対策を共有していくことだ。12月22日には、学校の養護教諭や部活指導者らを集め、思春期の運動性無月経の問題を考えるシンポジウムを東京都内で開催。ゼッターランドさんは座長として、婦人科医や栄養学が専門の大学教授、摂食障害に詳しい専門家らとの討論に臨んだ。

 運動性無月経は、運動量に見合う十分な食事を取らない「利用可能エネルギー不足」が原因。インタビューでは、自分のジュニア時代、同年代の選手たちから「高校3年間一度も月経が来なかった」「月経痛を我慢してプレーしたけれど、どうにもならない時もあった」「月経はない方がいいと、本気で話している指導者がいる」といった話を幾つも聞いたと明かした。自身については「中学から本格的にバレーボールを始め、休みもなく相当厳しい練習をしたが、選手の健康状態を最優先に考えてくれる指導者で恵まれていました」と言う。

 ◇中高生への対策「始まったばかり」

 かつて米代表チームでプレーした時には、医療との連携が進み、婦人科医の定期健診があることに驚いたが、日本でも今は、トップアスリートに対する婦人科医らのメディカルチェックが定着している。ただ、学校スポーツなどの現場では医療連携にまで手が回っておらず、運動性無月経に陥る選手はいまだに後を絶たない。「特に中高生が問題。代表クラスより下で、一生懸命スポーツに取り組む選手たちのために、正しい知識を広め、深める活動はまだ始まったばかりです」

 

 Vリーグのダイエー時代、スパイクを決めるヨーコ・ゼッターランドさん(左)。現役引退後、大学バレー部で指導者も経験した
 女性アスリート健康支援委は、最新知識を婦人科医らに伝える研修会を全国各地で開催しており、今年度中に全47都道府県で一通り終える予定。今回のシンポジウムは、健康問題を抱える中高生の選手たちに、こうした婦人科医への受診を促すため、養護教諭や部活指導者らに可能な限り、医療と連携するノウハウを持ってもらう取り組みの一環だ。

 大学ではあるが、ゼッターランドさんには指導者としての経験もある。2017年度まで4年間、関東大学リーグ1部の嘉悦大女子バレー部の監督だった。選手たちには自分の体と向き合う意識改革を求め、トレーナーを置き、チームがいかに試合で最高のパフォーマンスを発揮できるかを追求した。

 その原点には、「体調不良を我慢するのは、本人のためにもチームのためにもよくない」という米国で学んだプロ意識がある。「普段はスタメンの選手でも、中途半端なパフォーマンスするようでは責任を果たせない」とゼッターランドさん。「より一層、女性アスリートの体について考え、どういう支援をできるか考えさせられる4年間だった」と振り返り、「今、与えられている役割の中で、専門的な知識や現状の把握をもっと深めていきたい」と話す。

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