女性アスリート健康支援委員会 月経の悩み、ありませんか
「中高生は無月経にならないのが一番」
来ないのは体のSOS、将来にも悪い影響
◇大事な成長期に骨がもろくなる
そんな悩みを抱えた中学3年生の運動部員が、百枝先生の診察を受けたことがあります。彼女は、一生懸命トレーニングをがんばるようになったのに、食べる量は、以前とほとんど変わらないまま。エネルギー不足になり、月経が来なくなるという、典型的な「運動性無月経」の症状でした。
初めての月経の後、安定してほぼ毎月1回、周期的に月経が来るようになるまで、1~2年はかかるもの。だから、初経からしばらくの間は、月経周期の乱れにも、あまり神経質になる必要はありません。
「でも、15歳になっても初経が来ない(初経遅延)、安定して来ていた月経が3カ月以上止まっている(続発性無月経)といった場合は、産婦人科医に相談した方がよいでしょう」と百枝先生。スポーツ女子だと、運動性無月経の可能性があります。
月経が止まると、女性ホルモンのエストロゲンも分泌(ぶんぴつ)されにくくなります。このエストロゲンは骨を丈夫する働きもあるので、骨密度が低下しやすくなります。「無月経が長引いた結果、骨がもろくなる骨粗しょう症になり、10代後半で疲労骨折してしまう選手も珍しくありません」(百枝先生)
女性が最大の骨量(骨密度)を獲得(かくとく)するのは20歳になる前。中高生が無月経を放っておくと、十分な骨量を獲得しないまま大人になり、将来の骨折リスクも高くなります。
百枝先生は、ふだんからオーバートレーニングや食事不足にならないよう気をつけ、無月経にならないよう予防する大切さを強調しています。(水口郁雄)
◇拒食や過食、将来の不妊にもつながるリスク(月経の悩み、ありませんか 中高生のスポーツ女子が健康を守るための基礎知識・中)
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(2019/04/13 07:00)