女性アスリート健康支援委員会 月経の悩み、ありませんか

拒食や過食、将来の不妊にもつながるリスク
中高生が「無月経」とともに知っておきたいこと

 「おなかの痛みがとてもつらくて。もう部活を休みたい…」

 ロシアのスケート選手だったユリア・リプニツカヤさん。ソチ五輪団体金のメンバーになるなど活躍したが、摂食障害で引退した(EPA時事)
 そんな月経痛の悩みを抱える中高生のスポーツ女子は、たくさんいます。部活を休むとは言いづらいし、休んで「さぼっている」と思われるのも嫌。がまんしたまま、オーバートレーニングや行き過ぎた食事制限で月経が止まると、「月経なんて、むしろ来ない方が楽」と、つい思ってしまう人がいるかもしれません。

 でも、運動量に食事量が追い付かない「体のエネルギー不足」が招くのは、無月経や骨粗しょう症の問題だけではありません。産婦人科医で聖路加国際病院副院長の百枝幹雄先生は「食行動に問題が現れる摂食(せっしょく)障害という心の病気になったり、将来の不妊につながったりする心配もあります」と話し、無月経という体の「SOS」サインに注意するよう呼びかけます。

 ◇重症化すると命にも関わる問題

 スポーツ女子は一般の人よりも、摂食障害の割合が高いと言われています。特に目立つのは、陸上長距離や体操・新体操、体重階級制の競技の選手です。

 「速く走るために体を軽くしたい」「体が細い方が美しく見える」。そんな考えにとらわれて体重を減らし、その達成感から「もっと減らそう」と悪循環におちいり、摂食障害になるのが典型的なパターンです。

 「アスリートはもともと肉体的、精神的に強く、無月経になっても、むしろ好都合だと考えて練習を続け、摂食障害だと分かった時には重症化していることがあります」(百枝先生)

 摂食障害でよく知られているのは、拒食症(神経性やせ症)です。周りが食べるように勧めても、必要な食事量を食べられなくなってしまい、急激に体重が減ります。重症化すると、命にも関わります。

 百枝幹雄先生
 逆に、食欲を抑えた反動から、「むちゃ食い」が止まらなくなる過食症(神経性過食症)になる人もいます。過食症の人は、食べたものを人に隠れて吐いたり、下剤を使ったりする場合があります。

 そんな心の病気にならないためにも、日頃から運動量と食事量のバランスを取ることが大切。無月経のまま、もっと激しい運動をしようと思っているスポーツ女子がいたら、摂食障害になるリスクを抱えていると言っていいでしょう。

 「無月経のために私が診察した中学3年生の運動部員で、オーバートレーニングをどうしてもやめられない子がいました。食事は何とか取るようになったのですが、最終的には心療内科の先生にも、診察をお願いしました」

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