女性アスリート健康支援委員会 月経の悩み、ありませんか

「ピルでコントロール」も選択肢に
中高生のつらい月経痛、不妊リスク減らすメリットも

 つらい月経痛をがまんしたまま、無理に運動するのは決してよいことではありません。月経が乱れ、腹痛などの痛みの症状がひどい場合、医学的には「月経困難症」に分類されます。

 「日常生活に支障を来たすなら、産婦人科医を受診して」と話す百枝幹雄先生
 痛み止めの鎮痛薬を飲んでいる中高生もいると思いますが、徐々に痛みがひどくなり、鎮痛薬が効かなくなる場合もあります。産婦人科医で聖路加国際病院副院長の百枝幹雄先生は「日常生活にも支障を来すほどなら、産婦人科医に相談し、早めにきちんと対応した方がよいでしょう」と受診を勧めます。

 実際に受診した月経困難症の患者の多くに、百枝先生が服用を勧めるのは「低用量ピル」です。

 「ピルは安全なの」「飲むと将来妊娠しにくくなるのでは」

 つらい月経痛を抱える一方で、そう心配する人もいます。これに対し、百枝先生は「安全性と有効性から考えて、ピルを使うのが一番」「ピルを飲んでも、将来の妊娠する力は影響を受けません」と説明します。 

 ◇痛み止めで済ますよりも安全で有効

 ピルは、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンからつくった薬剤。いくつも種類がある中で、低用量ピルはホルモンの含有量が少なく体に優しいとされています。月経の痛みを和らげる効き目があり、同時に、月経を一定期間止めたり、来る時期をずらしたりとコントロールすることもできます。

 子宮内膜がはがれ落ちて月経が起きる。女性アスリート健康支援委員会のカラダテキストブック「スポーツ女子をささえる人に知ってほしいこと」より
 月に1回、自然に来るはずの月経を止めてコントロールするのは、体に悪いのではないか―。百枝先生はそんな質問も、よく受けるそうです。

 「確かに月経が止まると、骨や血管を丈夫にするエストロゲンの分泌(ぶんぴつ)も抑えられてしまいます。でも、ピルの服用はエストロゲンを補充しているということ。だから、妊娠を望んでいない時期に月経が止まっても、ピルを飲んでいれば問題ありません。むしろ月経の乱れに左右されず安定的にエストロゲンが体に入るので、骨などが丈夫になります」

 副作用がないわけではありません。百枝先生によると、1万人に7人ぐらいの割合で血栓症になる人が出ますが、「10代から20代に限ると、1万人に3人程度。注意して服用すれば大丈夫」だそうです。


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