こちら診察室 知ってる?総合診療科

第6回 診断難しい家族性地中海熱
「手術したら虫垂炎でなかった!」 ~総合診療医の出番です~

〔2〕胸痛に悩む70歳男性 

 ◇心臓が原因ではなかった 

臓器別の専門医では診断が難しい症例もある

 70歳の男性。半年ほど前からたびたび胸の痛みに悩まされていました。心電図は正常で、狭心症を疑われて循環器内科で検査したものの、明らかな異常は認められませんでした。 

 しかし、この男性は(1)高齢者である(2)悪玉コレステロール「LDL」が160と高い(3)喫煙などの危険因子があった-ことから心臓カテーテル検査が行われました。 

 その結果、目立った冠動脈狭窄(きょうさく)は認められず、循環器内科の通院治療は中止となりました。心臓が原因の胸痛でないことは安心材料になりましたが、肝心の胸痛は改善しないため、総合診療科を受診しました。 

 ◇逆流性食道炎の薬 

 心臓カテーテル検査で心臓が原因でないと分かると、次に考えるべきは肋間(ろっかん)神経痛や肋軟骨(ろくなんこつ)炎などの胸壁由来の痛みです。これは身体診察で異常所見が無いため否定されました。次に頻度の高い原因は逆流性食道炎などの消化器疾患です。 

 口の中が酸っぱくなるといった明らかな症状があったわけではありませんが、逆流性食道炎の薬を試すと大きな改善効果があり、胸痛は全く起きなくなりました。後日行った胃カメラ検査で逆流性食道炎を確認できました。 

平山陽示教授

  患者が胸痛を訴えた時、心臓が原因ではないかと考えて診断を進めるのは正しいです。しかし、心臓が原因でないと分かった時、どのように攻略するかは、臓器別専門医ではなかなか難しいでしょう。循環器の専門疾患ばかりを毎日診療していますから、心臓が原因でない胸痛には強くないのです。このようなケースも総合診療医が役立っているようです。(東京医科大学臨床教授 平山陽示) 

平山陽示氏(ひらやま・ようじ)
1984年東京医科大学卒。88年米国ミシシッピー州立大学生理学教室留学。東京医大第2内科講師、准教授など経て2012年臨床教授。11年東京医大病院総合診療科科長、12年から20年まで卒後臨床研修センター長兼任。2000年から禁煙外来を担当している。循環器専門医、プライマリ・ケア認定医・指導医、禁煙専門医、産業医。

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