紫斑病〔しはんびょう〕 家庭の医学

 皮膚に赤紫色の出血斑(紫斑)ができやすくなる病気を紫斑病といいます。
 紫斑病には、血をとめるはたらきをする血小板が減るために起こる血小板減少性紫斑病と、血管の炎症による血管性紫斑病があります。

■血小板減少性紫斑病
 血小板は、血液1mm3中に約15万~40万ありますが、5万以下に減ると紫斑ができたり、出血がとまりにくくなったりします。

[原因]
 かぜやはしか風疹(ふうしん)のあとなどに、血小板に対する抗体を自分でつくってしまい、血小板がこわされて減少します。予防注射のあとにかかることもあります。

[症状]
 急性型と慢性型があり、小児では急性型がほとんどです。ウイルス感染などの1~4週後に突然、皮膚に出血斑ができたり、鼻血がとまりづらいなどの症状で始まります。出血斑は、赤紫色からしだいに茶色になり、薄くなって10日くらいで消えますが、新しいものができてきます。多くは、3カ月以内に自然に治ります。一部では、慢性型で、6カ月以上、数年間にわたり紫斑が出たり消えたりします。

[治療]
 軽症の場合は、ようすをみます。血小板数が3万以下になったり、出血症状が強ければ、ステロイドホルモンや免疫グロブリンを使います。慢性型の場合、ステロイドホルモンや免疫グロブリンが無効な場合、免疫抑制薬を使ったり、脾(ひ)臓を摘出したりする方法もおこなわれます。しかし、脾臓の摘出後、感染症にかかりやすくなることもあり、慎重に検討します。

■IgA血管炎(血管性〈アレルギー性〉紫斑病)
 小さな血管でアレルギー反応が起こり、血管がもろくなったためにむくみや出血が起こってくる病気です。3~10歳ごろが起こりやすい年齢です。かぜや溶連菌という細菌感染のあとに始まることもあります。

[症状]
 手足に、むくみ、小さな点状から硬貨大の紫斑があらわれます。かゆみを伴うこともあります。関節のはれと痛み、腹痛、腎炎を起こすことがあります。腹痛とともに血便が出ることがあります。
 また、手足の紫斑がはっきりせず、腹痛が先にあらわれて、虫垂炎とまちがわれることもあります。腎臓の血管にも変化が起こった場合、血尿、たんぱく尿が長く続き、紫斑病性腎炎といわれます。腎炎は、他の症状よりも遅れて出ます。

[治療]
 根本的な治療法はありませんが、自然治癒することも多い病気です。腹痛や血便があれば入院のうえ絶食し、輸液治療をおこないます。腹痛、関節痛には副腎皮質ステロイド薬が有効です。一部の患者には、血液の凝固と溶解に関係する物質が低下し、その補充がおこなわれます。

【参照】血液の病気:紫斑病

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