紫斑病〔しはんびょう〕

 皮膚にみられる点状出血、斑状出血を総称して「紫斑」と呼び、紫斑を主症状とするものが紫斑病です。紫斑病は大別して血管に原因がある場合と、血小板が減少するか、はたらきの異常で起こる場合があります。

 血小板数が減少して起こるものとして代表的なものは、厚生労働省の難病医療費助成制度対象疾病(指定難病)に指定されている特発性血小板減少性紫斑病で、通常紫斑病といった場合、多くはこの病気を指します。
 そのほか、時に致死的となり、専門医の治療が必要となる血栓性血小板減少性紫斑病というまれな病気があります。この病気ではからだの重要な臓器のこまかな動脈に血小板を主体とした血栓がつまり、意識障害などの神経症状、腎臓障害、貧血、発熱などをきたします。ADAMTS13という止血因子切断酵素が減ってしまうことが原因ということがわかってきています。血漿(けっしょう)交換法などが有効な治療です。

■特発性血小板減少性紫斑病
 骨髄(こつずい)での血小板産生のしくみに異常がなくても、血小板に結合する抗体というたんぱく質がつくられたために血小板の破壊が亢進(こうしん)し、血小板減少となる病気が特発性血小板減少性紫斑病です。急性型と慢性型があります。急性型は主として小児にみられ、上気道などのウイルス感染後2~3週で急激に血小板減少が始まり、紫斑などの出血症状をきたします。多くの場合3~6カ月以内に血小板数は正常に回復しますが、慢性型に移行するものもあります。
 いっぽう、慢性型は数カ月~数年の経過をもって徐々に発病します。成人女性に比較的多い傾向があります。打撲の覚えもないのに皮膚にあざができやすいとか、鼻血、歯ぐきからの出血がとまりにくいとか、何度もみられるようになったとかの症状で気づくほか、偶然に血液検査で血小板減少が見つかることも少なくありません。重症の場合は脳出血などの出血をきたすこともあります。
 確定診断のためには血小板減少をきたすほかの病気ではないことを確認することが重要で、そのためにも多くの場合で骨髄検査が必要になります。

[治療]
 治療は血小板減少の程度、出血症状の有無によって異なり、軽症・中等症の場合、無治療で経過をみることも少なくありません。
 血小板数が低値で出血症状のあるときは、まず副腎皮質ステロイド薬を試みます。この効果があまりみとめられないか、みとめられたとしても副腎皮質ステロイド薬の投与必要量が多いときは、長期のステロイド使用による副作用を避けるため、脾(ひ)臓摘出術が推奨されます。脾臓は抗体の産生と血小板の破壊に関与しており、手術の効果は大きく、手術を受けた患者の半数以上で血小板数は正常化します。最初の治療で治りにくい場合は、ロミプロスチムという血小板を直接ふやす薬も使ったり、免疫を抑える目的でリツキシマブという抗体医薬を使うこともあります。重篤な出血が起こったときは、血小板輸血をすることもありますが、一般的には輸血をしても早期にこわされてしまうため、緊急時以外はあまりおこなわれません。また、免疫グロブリン製剤の大量投与も一時的な効果があります。
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