睡眠・覚醒スケジュール障害〔すいみんかくせいすけじゅーるしょうがい〕 家庭の医学

 誰でも望ましい睡眠のスケジュール(時間帯)があります。たとえば、夜の10時に寝て朝6時に起きるといったような具合です。このような睡眠のスケジュールに狂いが生じる状態があります。

■睡眠相後退症候群
 実際の睡眠が望ましい時間帯よりもうしろのほう(遅い時間帯)にずれる場合をいいます。寝つきと起床が徐々にわるくなり、ついには昼夜逆転の生活になってしまいます。このような生活は、たとえば大学生で夏期休暇に入ったときなどにみられますが、新学期が始まると睡眠時間帯は急速にもとに戻ります。そのような修正がきかない場合が睡眠相後退症候群に入ります。不登校の場合に本症候群が隠れていることがあります。
 治療は、入院などにより徐々に起床時間を早める生活指導、高照度光照射療法、薬物療法(メラトニンなど)があります。

■睡眠相前進症候群
 逆に睡眠が前のほう(早い時間帯)にずれる場合をいいます。高齢者でその傾向があります。この場合は生活に支障をきたすような問題はありません。

■非24時間リズム
 わたしたちは1日24時間のリズムで生活していますが、本来は約25時間のリズムをもっています(概日リズム)。この概日リズムが、なんらかの原因で外界の24時間リズムに対応できなくなると、すこしずつ睡眠・覚醒(かくせい)の時間がずれるという現象が生じ、非24時間リズムと呼ばれます。生来性の視覚障害や脳障害がある場合などで生じることがあります。この場合の治療は、睡眠相後退症候群と同様です。

■人為的なスケジュール障害
 看護師、警備員などの交替制勤務者や外国旅行をした場合にも睡眠・覚醒リズムの調節がうまくいかない場合があり、それぞれ交代勤務睡眠障害、時間帯域変化(時差)症候群と呼ばれます。

(執筆・監修:高知大学 名誉教授/社会医療法人北斗会 さわ病院 精神科 井上 新平)
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