心臓病の診断法 家庭の医学

 心臓病の診断の第一歩は、まず患者のうったえと医師の質問(問診)に対する答えから、病気の種類と現在の状態について、80%程度見当をつけることができます。問診では、たとえば、いつから、どのような症状が出てきたのか、その症状はどのようなときに出現して、どれくらい続いたのか(数分か、数時間か)、徐々によくなったのか、突然よくなったのか、などが聞かれます。
 医師の診察は、一般状態を診て顔いろや手足の状態を確認し、脈拍を診て心臓の大きさを打診で確かめ、心臓の音、呼吸の音を聴き、血圧をはかり、腹の状態や浮腫(むくみ)の有無、動脈や静脈の状態なども検討します。これによって、弁膜症や一部の先天性心臓病は正確に診断できます。
 しかし、治療を的確におこなうためのより詳細な診断のために、いろいろな検査がおこなわれます。胸部X線検査、心電図、心音図などの簡単な検査や、心エコー図(超音波検査)、経食道心エコー図、運動負荷心電図、長時間心電図(ホルター心電図)、CT、MRI、心筋シンチグラフィなどのくわしい検査、また心臓カテーテル、心臓血管造影法、心臓電気生理検査、などの入院を必要とする特殊検査があり、特に心臓の手術(開心術)やカテーテル治療をおこなうためには入院による精密検査が不可欠となります。

(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 常勤顧問 梅村 純)