疥癬〔かいせん〕 家庭の医学

 疥癬虫の皮膚寄生によって起こる皮膚病で、他人から感染して起こるものです。
 以前は衛生状態のわるい環境に生活している人に多いといわれていましたし、また他人からうつる性病的なものといわれていました。そのため、戦後の衛生状態のわるいときに多発して流行をみました。しかし、最近の疥癬は共同生活者の間の流行が多いようです。たとえば老人ホーム、身障児施設などに多発することがあります。

 疥癬虫が皮膚に寄生すると、その表面から皮膚の中に向かってトンネルを掘って入っていきます。そのため皮膚のやわらかい部分に寄生します。たとえば指の間、乳房下、陰部、下腹部などの屈面、わきの下、内またなどにかゆい丘疹(きゅうしん)が集まってできてきます。特有な寄生部位として、指の間と亀頭に丘疹をみることがあげられます。そのため、疥癬を疑ったときは、これらの発生部位をよく見ることが大切です。
 もう一つは、この虫は夜間に活動するので、夜になるとかゆみが激しくなるのも特徴です。
 また、皮膚にトンネルを掘って線状になって見えることもあります。これを疥癬トンネルといっていますが、トンネルのつき当たりの皮膚を採取して顕微鏡で見ると、疥癬虫を見つけることができます。この虫はめす(雌)が多いので、トンネルから卵を見つけることができます。これが疥癬の診断には大切です。


[治療]
 イベルメクチン内服が原則です。安全性の確立していない小児などにはフェノトリンローション、硫黄軟膏(なんこう)、クロタミトン軟膏を外用します。
 患者の寝具、下着の消毒が必要で、日光消毒が有効です。

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