赤血球増加症〔せっけっきゅうぞうかしょう〕
赤血球増加症には、からだ全体の赤血球量が絶対的に増加している場合と、からだを流れる血漿(けっしょう)量が少なくなったために見かけ上、赤血球濃度が高くなった場合があります。
前者には高地に生活している人、先天性心疾患、肺の病気などにより、酸素の取り込みや運搬が低下するのを補うため、酸素を運ぶ赤血球数をふやすという代償機構により赤血球数がふえている人、エリスロポエチンと呼ばれる赤血球造血因子を産生する脳・腎臓などの腫瘍がある人のほか、真性赤血球増加症と呼ばれる造血系の腫瘍などがあります。
いっぽう、後者はストレス、脱水などで起こります。赤血球数が700万~1000万/μLにも増加し、血液の粘度が増加することがあります。
赤血球増加症の症状としては顔面紅潮、頭重感(ずじゅうかん)、めまい、耳鳴りなどがしばしばみられます。また、重い合併症としては、血液の粘度が増加することによる血栓症や脳卒中がみられることもあります。真性赤血球増加症の多くで、造血幹細胞における血球増殖シグナルの異常亢進(こうしん)が生じていて、赤血球増加のほか、白血球、血小板数も増加することが多いことが知られています。
[治療]
治療の原則は増加した赤血球量を減少させることであり、もっとも簡便な方法は瀉血(しゃけつ)療法です。通常1回に400mLくらいまでの量の血液をゆっくり注射針で取り出して捨て、血液粘度を一定に保つように心掛けます(通常はヘマトクリット値50%くらいをめやすにします)。
真性赤血球増加症の場合は、骨髄(こつずい)での造血を抑制する薬を使用することもあります。骨髄での異常造血亢進を引き起こす遺伝子変化が真性赤血球増加症の原因であることがわかっており、その遺伝子がつくる異常なたんぱく質の機能を抑えるルキソリチニブという治療薬もあります。また、インターフェロンという注射薬を使うこともあります。エリスロポエチンを産生する腎臓などの腫瘍が原因の場合は、腫瘍を摘出することが必要です。また、真性赤血球増加症の重篤な合併症である血栓症を予防するため、アスピリンなどの抗血小板薬を用いることがあります。
前者には高地に生活している人、先天性心疾患、肺の病気などにより、酸素の取り込みや運搬が低下するのを補うため、酸素を運ぶ赤血球数をふやすという代償機構により赤血球数がふえている人、エリスロポエチンと呼ばれる赤血球造血因子を産生する脳・腎臓などの腫瘍がある人のほか、真性赤血球増加症と呼ばれる造血系の腫瘍などがあります。
いっぽう、後者はストレス、脱水などで起こります。赤血球数が700万~1000万/μLにも増加し、血液の粘度が増加することがあります。
赤血球増加症の症状としては顔面紅潮、頭重感(ずじゅうかん)、めまい、耳鳴りなどがしばしばみられます。また、重い合併症としては、血液の粘度が増加することによる血栓症や脳卒中がみられることもあります。真性赤血球増加症の多くで、造血幹細胞における血球増殖シグナルの異常亢進(こうしん)が生じていて、赤血球増加のほか、白血球、血小板数も増加することが多いことが知られています。
[治療]
治療の原則は増加した赤血球量を減少させることであり、もっとも簡便な方法は瀉血(しゃけつ)療法です。通常1回に400mLくらいまでの量の血液をゆっくり注射針で取り出して捨て、血液粘度を一定に保つように心掛けます(通常はヘマトクリット値50%くらいをめやすにします)。
真性赤血球増加症の場合は、骨髄(こつずい)での造血を抑制する薬を使用することもあります。骨髄での異常造血亢進を引き起こす遺伝子変化が真性赤血球増加症の原因であることがわかっており、その遺伝子がつくる異常なたんぱく質の機能を抑えるルキソリチニブという治療薬もあります。また、インターフェロンという注射薬を使うこともあります。エリスロポエチンを産生する腎臓などの腫瘍が原因の場合は、腫瘍を摘出することが必要です。また、真性赤血球増加症の重篤な合併症である血栓症を予防するため、アスピリンなどの抗血小板薬を用いることがあります。
(執筆・監修:東京大学大学院医学系研究科 教授〔血液・腫瘍病態学〕 黒川 峰夫)