しわ・たるみ 家庭の医学

 顔面のしわ・たるみは皮膚の弾力性の低下や表情筋(顔面の筋肉)の作用などが原因で起こります。以前はフェイスリフトに代表される外科的治療が主流でしたが、近年では手術以外の治療が多くなっています。

【治療】
■外科的治療
 フェイスリフトは耳の前からあご(顎)の下を切開して、顔面の皮膚をひっぱる方法です。治療効果は高いものの、術後の腫(は)れや赤みが目立つことがあります。
 下眼瞼(下まぶた)のたるみに対しては、睫毛の下を切開して、余分な皮膚や脂肪を除去する手術がおこなわれます。

■ケミカルピーリング
 グリコール酸やサリチル酸などの化学薬品によって、古くなった皮膚の表層を除去する治療法です。

■注入療法
 しわ・たるみの部分に注入する治療法であり、フィラー(皮膚充填〈じゅうてん〉材)治療とも呼ばれています。コラーゲンやヒアルロン酸が用いられますが、現在ではアレルギー反応の少ないヒアルロン酸が主流となっています。数カ月から1年で吸収されるため、くり返しの治療が必要です。これに対して、体内で吸収されない非吸収性物質はわが国では未承認であり(2024年4月現在)、注入後の合併症も報告されています。
 また、表情筋の作用を抑える目的で、ボツリヌス菌毒素の注射をおこないます。

■その他
 比較的新しい治療法です。いずれもフェイスリフトや注入療法にくらべて、治療効果に個人差があるといわれています。
①フラクショナルレーザー:微小な照射ができるレーザー機器
②HIFU(ハイフ:高密度焦点式超音波治療法):超音波を応用した機器
③PRP注入治療(多血小板血漿):自分の血液から精製した製剤

(執筆・監修:埼玉医科大学 教授〔形成外科・美容外科〕 時岡 一幸)
医師を探す