乳幼児健康診査 家庭の医学

 乳幼児の成長と発達を見守り、問題を早期に発見し適切な対応がとれるように、また、育児上の悩みや問題を医師、保健師などに相談できるように、市町村では公費によって、乳幼児の健康診査(健診)がおこなわれています。
 すべての市町村が実施しなくてはならないのは、1歳6カ月~2歳の間におこなう1歳6カ月児健診と、3~4歳の間におこなう3歳児健診ですが、これ以外にも多くの自治体では、6~7カ月または9~10カ月の時期に実施していますので、お住まいの自治体の健診システムを必ず確認してください。歯科健診は、1歳6カ月児や3歳児を対象とする市町村が多いようです。
 その方法はさまざまで、あらかじめ健康保健センターからの情報を得てください。健康福祉センターで医師による健診がおこなわれることもあり、診療所や病院に委託しておこなうこともあります。都合のよいほうを選んでください。
 健診で問題があると判断されたり、経過観察がよいと判断された場合には、2次健診をおこないます。2次健診の結果、問題なしということもありますので、過度に心配せずに、育児相談の機会ととらえて利用してください。
 発達のおそい赤ちゃんに対して、同時に「療育」といって、発達促進の場が提供されることもあります。

●1カ月健診
 出生後最初の健診で、ここではまず、体重増加、哺乳の状態を確認します。平均して体重が1日30g程度ふえていれば問題ありません。体重の増加がわるい場合には、その原因をさがしてもらいましょう。黄疸(おうだん)、心雑音も重要な項目です。

●3~4カ月健診
 体重増加、くびのすわり、固視・追視、あやし笑い、腹部腫瘤(しゅりゅう)、心雑音、からだ全体の動きなどを診ます。成長・発達が問題ないかどうか判断するのに重要な月齢です。

●6~10カ月健診
 ここは自治体によって健診の月齢が大きく異なります。6~7カ月ではお座りをし始め、離乳を開始し、おもちゃに関心が出て、喃語(なんご)が活発に出ています。寝返りもできます。
 腹部腫瘤も大事な項目です。8~9カ月のほうが発達をみるのによく、大半が1人で座っていられます。おもちゃを両手で持って遊ぶ、物をさがす、人見知りをし始めるなどの発達と、離乳の進行が順調かどうかを診ます。聴覚や知的発達も診ます。

●1歳健診
 健診のない自治体が多く、離乳の進行、哺乳について、つかまり立ち、独歩など、気になることがあったら相談してください。

●1歳6カ月健診
 食事状況、歩けているか、視覚、聴覚、歯の成長、ことばの発達など、乳児期の成長、生活、発達など全般を診るのにとても重要です。

●3歳健診
 特に知的発達、聴覚、ことばの発達、生活習慣をチェックするのに重要です。乳児期と異なり、多動などの行動上の問題がわかってくる時期で、集団保育に入る前に心配なことは、ここで相談しておきましょう。乳歯のチェックも大事です。

(執筆・監修:自治医科大学 名誉教授 桃井 眞里子)
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