子どもの成長の特徴

 子どもは日に日に成長し変化します。成長に問題がある赤ちゃんもやはり変化し、マイペースの成長を遂げます。まずは、赤ちゃんの成長についての一般的知識をもっていることは、問題の発見にも重要です。しかし、大事なことは、成長には個人差があるということの理解です。
 疑問に感じることが個人差なのか、病気に関係することなのかは、小児科医の判断を求めてください。「問題のない個人差ですよ」と判断されたら、標準とは異なっても、その個人差を安心して楽しんでください。
 これからの時代は、他人と同じよりも、他人と違うことが価値をもってきます。ほかの赤ちゃんと違っても、病気でなければ安心して個人差を楽しむ気持ちが、育児全般を余裕あるものに変えます。

■乳児期の成長
 生後4週までを新生児、それ以降1歳までを乳児、就学までを幼児、それ以降を学童と呼びます。生まれてから1歳まではもっとも成長がいちじるしい時期ですので、乳児の成長の特徴を知っておくことは大切です。また、成長・発達をきちんと診てもらうためにも、乳幼児健診は必ず受診してください。

■乳児期の体重
 出生時の体重は正期産児なら、約3000gです。出生直後には一度体重が減少して、10日程度でもとに戻るのが正常です(生理的体重減少)。この生理的体重減少は、出生体重の10%以内なら正常です。
 体重は栄養状態や、体調に影響を受けやすいので、乳児の健康のもっともよい指標になります。3カ月くらいまでは1日30g前後の増加があります。その後、増加程度はややにぶり、1歳ころには1カ月200g程度の増加になります。めやすとしては、0~3カ月は30g/日、3~6カ月は15~20g/日、6~9カ月は9g/日、その後は8g/日程度です。一般に4カ月までに出生体重の約2倍、1歳で約3倍になります。
□乳児期に体重増加不良といわれたら
 「乳幼児健診で体重のふえがわるいですから、ようすをみましょう」といわれることがあります。1カ月健診、3~4カ月健診でもっとも多く、離乳期の7~8カ月健診でもみられます。
●哺乳のしかたの問題
 1~3カ月の体重増加不良でもっとも多いのは、哺乳のしかたの問題です。
 小さく生まれた赤ちゃんなら、哺乳のしかたがへたで、うまく哺乳できないこともあります。息つぎがへたで苦しくなってしまう赤ちゃんもいます。その赤ちゃんの哺乳のペースをうまくつかんでください。
 母乳の出がわるくてそれに気がつかずに体重がふえないこともあります。哺乳後2時間もたたずに泣く場合には、母乳の不足を考えてみてください。母乳はとても大切ですが、このような場合にはミルクを足すほうがよいのです。ミルクの場合には、哺乳ビンの乳くびの問題のこともあります。出すぎてもむせますし、出がわるいと吸っていて疲れてしまいます。哺乳ビンを真下に向けて、ぽたぽたとゆっくり落ちるくらいが適度です。
 体重がふえない原因はいろいろですので、万一の病気のことも考えて小児科医に相談するのがよいでしょう。
●病気が潜む場合
 先天性心疾患(先天性の心臓の病気、多くは心雑音が聞かれる)などの生まれつきの問題で、体重がふえないことがあります。
 哺乳に問題なく、母乳も十分出ていても吸いつきがわるい、哺乳開始後、すぐに疲れて寝てしまう、たくさん飲んでいるはずなのに体重がふえないなどがあるときには、小児科医に相談してください。

■乳児期の身長
 正期産児の出生身長は、約50cmです。1歳で1.5倍に伸びます。4歳で2倍、12歳で3倍がおおまかな成長です。短期間の栄養状態や病気の状態の影響を受けにくいために、成長に影響する病気があるかどうかは、身長によって判断することが可能です。ただ、乳児期に身長の伸びが問題になることはまれで、幼児期以降に問題になります。

■乳児期の頭囲と胸囲
 出生時は、頭囲は33cmくらいで、胸囲よりすこし大きいのがふつうです。1歳では頭囲と胸囲はほぼ同じになり、それ以降は、胸囲がやや大きくなります。
 頭囲と胸囲はほぼ似た成長を示すので、頭囲の異常は、胸囲と比較した場合に判断しやすいのです。乳児期に胸囲成長曲線から大きくはずれて頭囲が小さい場合は小頭症(しょうとうしょう)で、脳の発育に問題があります。大きくはずれて頭囲が大きい場合は、大頭症または水頭症(すいとうしょう)が考えられます。大頭症(だいとうしょう)は、親も頭が大きめであることがあり、なんら問題がないこともあります。一部には発達の遅れを伴うことがあるので、小児科医の判断が必要です。
 水頭症は、頭の中の髄液の循環がわるいために、頭囲が大きくなるとともに脳が圧迫される病態で、早期の発見が大事です。どちらにしても、専門医の診察を受ける必要があります。

■成長をどう判断するか
●標準の成長曲線とくらべる
 標準の成長曲線には、平均値と、その上に+1SD(SD:標準偏差)、+2SD、その下に-1SD、-2SDの曲線が沿って描かれています。+2SD~-2SDの間に入っていて、曲線に沿って成長しているなら問題はありませんので、かかりつけの小児医にたまに評価してもらいましょう。(sodate001)(sidate002)

●カウプ指数を出してみる
 カウプ指数は、体重(g)÷身長(cm)2×10 で計算される成長指標です。成長のバランスがよいかわるいかの判断に有用です。
 乳幼児期には、これが15~18だとバランスよい成長です。22以上は肥満、10~13が栄養失調、10以下は消耗症と判断されます。消耗症は、日本では適切な栄養が与えられない虐待児にしばしばみられる状態です。正常範囲よりも、やや多め、少なめは問題ありません。めやすと考えましょう。

■骨年齢
 身長が小さいことで受診すると、「骨年齢をみましょう」といわれます。骨の成熟度をみる検査で、6カ月まではひざ、それ以降は手のX線写真を撮ります。これで、骨の成熟度が、年齢(月齢)と同じかどうかを判断します。年齢と同じなら、骨をつくる体内のしくみはうまくはたらいていることになり、低身長の原因は、家族性だったり先天性だったりします。
 骨年齢が遅れていると、骨を成熟させる成長ホルモンの出がわるい状態だったり、ほかの疾患があると考えられ、さらに検査が必要になります。(骨年齢÷暦年齢)が80~120%の範囲なら正常です。

■乳幼児の成長のバランスと事故の注意
 乳幼児は、身長にくらべて頭が大きいのが特徴です。そのため転びやすく、転倒や転落では、重い頭から落ちるので頭部外傷が多くみられます。
 乳幼児、特に3歳までは、家の中での事故で頭部外傷が意外に多くあります。家具の角は安全だろうか、幼児がのぼれるところはないか、階段から落下する危険はないか、風呂場には入れないようになっているかなどに気を配ってください。乳幼児のいる家庭では風呂では遊ばない、風呂の湯は必ず抜く、が必要です。
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