黄疸〔おうだん〕 家庭の医学

 黄疸とは、血清ビリルビン値が上昇し、皮膚、粘膜、眼球結膜などにビリルビンが沈着(ちんちゃく)、黄染(おうせん)する病態です。顕性黄疸と呼びますが、血清ビリルビン値は上昇しているものの、黄染があきらかでない場合は、不顕性黄疸と呼ばれます。はじめに尿が褐色(かっしょく)になり、皮膚のかゆみが出現し、その後、黄疸の症状がみられることが多いです。
 黄疸をきたす疾患として頻度が高いものに閉塞性黄疸、急性肝炎肝硬変などがあります。閉塞性黄疸は、胆管がなんらかの原因で閉塞して胆汁がうっ滞することにより生じます。おもな病気としては、膵頭部がん、胆管がん(胆嚢がん、胆管がん、十二指腸乳頭部がん)、胆石症(胆嚢炎、胆石症)、急性胆管炎、自己免疫性膵炎、原発性硬化性胆管炎などがあります。肝細胞性黄疸には、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝がん自己免疫性肝炎薬剤性肝障害などがあります。肝内胆汁うっ滞性黄疸には、原発性胆汁性胆管炎、薬剤性肝障害、原発性硬化性胆管炎などがあります。そのほか、体質性黄疸や溶血性(ようけつせい)黄疸があります。
 黄疸が出た場合は、血液検査、腹部超音波(エコー)検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査などを至急受け、原因をつきとめなければなりません。治療が急がれる病気も含まれています。

【参照】肝臓の病気:黄疸

(執筆・監修:国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院 名誉院長 大西 真)