子ども虐待について 家庭の医学

 子ども虐待が増加しています。育児のストレス、生活のストレスが子どもに向けられています。子どもに暴力を振るってしまう、イライラして育児ができない、子どもがかわいくないなどという場合は、まず児童相談所に電話してください。泣きやまない乳幼児を前後に強くゆすると、場合によっては脳に出血などの重大な損傷を与え、助かっても重い後遺症を残します。乳幼児を強くゆすること自体が危険な行為ですので、けっしてしないでください。
 小児科医や健康福祉センターへ電話してもけっこうです。どこにせよ、まず、電話で援助を求めてください。援助が必要なのは、子どもだけではなく、親も援助を得る権利があり、必要です。

 子ども虐待は母親が虐待する場合、父親が虐待する場合、同居人が虐待する場合、家族全員が虐待する場合などさまざまです。近所で、子どもの異常な泣きかたが常時聞こえる、子どもがいるはずなのに姿が見えない、子どもがきちんとケアを受けていないように見えるなど、虐待を疑ったら、児童相談所に電話をしてください。通報した人に迷惑はかかりませんし、通報は法律で義務づけられた社会人としての義務です。調査の結果、虐待でなかったとしても、通報し子どもは社会全体で守るのが鉄則です。

(執筆・監修:自治医科大学 名誉教授 桃井 眞里子)
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