消化管造影検査

 バリウムがX線を透過させにくいことを利用して、なにも食べない状態でバリウムをのむことで、食道、胃、十二指腸の内腔(ないくう)像を撮影する検査です。まず弱いX線を連続的に照射しながら、モニター上に映した動画で観察をおこない(X線透視)、必要な部分だけ写真を撮影することから、透視検査とも呼ばれます。
 上部消化管の検査(胃透視)では、バリウムをのみながら食道の通過状態を確認したり(食道がん食道静脈瘤〈りゅう〉)、胃の充盈(じゅうえい)像(胃をバリウム剤で満たした像)で胃の基本形態や胃壁の伸展性を確認したりします。またバリウムが胃壁表面に付着した状態のまま、空気で胃をふくらませることで、胃壁表面のわずかな凹凸や襞(ひだ)の状態を詳細に観察することが可能になります(二重造影法)。この方法は、早期のがん(胃がん)の発見に大きく貢献してきました。
 下部消化管の検査では、バリウムと空気を肛門から入れて検査します(注腸造影)。大腸がんやポリープなどの診断に役立ちます。
 しかし、早期がんの検出力は内視鏡検査のほうが圧倒的に高いため、近年では、造影検査の役割は限定的になっています。

【参照】医療機器によるおもな検査:造影X線検査

(執筆・監修:自治医科大学 教授〔臨床検査医学〕 紺野 啓)