腸重積〔ちょうじゅうせき〕

[原因]
 腸が肛門側の腸の中に入る病気で、原因の多くは不明です。時間がたつと腸がくさってしまうので、早期の受診が大切です。


[症状]
 6カ月から2歳ころに多くみられます。元気であった子が急に不きげんになり、激しく泣いたり、痛そうにぐったりしたり、顔いろが蒼白(そうはく)になることもあります。痛みはまもなくよくなりますが、その後ふたたびくり返し(間欠的腹痛)、吐くようになります。
 経過の進行とともに、イチゴゼリー様の血便をみます。

[診断]
 超音波(エコー)検査が有用です。以下の治療において、腸が腸内に入った部分が画像上あきらかになり、診断が確定します。

[治療]
 発病24時間以内であれば、X線透視をしながら肛門から造影剤(X線に写る液体)を入れて、入り込んだ腸を戻します。

 最近では空気を入れたり、超音波検査をしながら生理食塩水を入れて治療することもあります。この方法で腸が戻らない場合や、発病からの時間が長く状態が不良の場合は、手術でおなかを開いて手で戻します。腸がくさっていれば、その部分を切りとります。
 腸重積は早く発見し、早く治療すれば比較的簡単に治りますが、発病してから時間がたつと重篤になるので、保護者がぜひ知っておかなければならない病気の一つです。

(執筆・監修:自治医科大学 名誉教授/茨城福祉医療センター 小児科 部長 市橋 光
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