先天性食道閉鎖(症)〔せんてんせいしょくどうへいさ(しょう)〕 家庭の医学

[原因]
 発生の異常による生まれつき食道が途中で途切れている病気で、頻度は出生の約5000分の1です。いろいろなタイプがあり、わが国ではC型が80~85%を占めています。


[症状]
 胎児は食道閉鎖があると羊水(ようすい:子宮内にあり、胎児が浮いている液体)を飲み込むことができないので、母親は妊娠経過中に羊水過多をみとめることが多くあります。
 出生直後から口内に唾液の貯留をみとめます。唾液が誤嚥(ごえん)されて肺へ入ることにより、肺炎を起こします。

[診断]
 口から入れた管が胃に入らずに途中で戻ってしまうことをX線検査で確認します。

[治療]
 重篤な病気ですが、近年手術後の死亡率は約8%まで低下しています。
 診断がついたら、上部食道の盲端にカテーテルを入れ、唾液の吸引を開始します。胃瘻(いろう)造設術(おなかをあけて胃にチューブを入れ、ここから栄養をとれるようにする)と気管食道瘻離断術を早期におこないます。さらに時期をおいて、上部食道と下部食道をつなげる手術をします。条件により、1回の手術で治す場合もあります。

【参照】食道の病気:先天性食道閉鎖

(執筆・監修:自治医科大学 名誉教授/茨城福祉医療センター 小児科 部長 市橋 光
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