角膜移植
角膜混濁を原因とする視力障害で、薬剤による治療が無効である場合には、角膜移植による治療が適応になることがあります。角膜移植は、この混濁した角膜を透明な角膜に入れ替えることです。角膜移植には全層移植と部分移植(表層移植、内皮移植など)があります。アイバンクに登録された人が亡くなったとき、その人の角膜を用いて移植がおこなわれます。角膜が無血管組織であるため拒絶反応は少ないのですが、起こることもあります。拒絶反応が起きた場合には、副腎皮質ステロイド薬やシクロスポリンの使用で治療しますが、角膜再移植が必要となることもあります。
■アイバンク
角膜移植のために、亡くなった方やそのご家族の尊い意思により角膜を提供(献眼)していただく組織がアイバンクです。厚生労働大臣の許可に基づきすべての都道府県に設置され全国で54カ所あります。わが国では、1958年に「角膜の移植に関する法律」が施行され、その後「臓器の移植に関する法律」となり運用されています。
角膜移植を必要とする患者さんは常に何千人もおり、2013年の内閣府の調査でも、生前に本人の提供の意思を知っていた場合に、その意思を尊重するという人は非常に多く、元気なときに臓器提供や献眼について話し合っていただくことが重要であると思われます。
アイバンクについては、近くの大学病院の眼科か(公財)日本アイバンク協会に聞けば、手続きなどを教えてくれます。