【ソウル時事】韓国政府は1日、出産した女性に子ども1人につき現金1億ウォン(約1100万円)を支給する案について行ったアンケートの結果を公表した。韓国は日本以上に少子化が深刻。62.6%が出産の動機付けに「なる」、37.4%が「ならない」と回答し、案を支持する人が大幅に上回った。
 これまでは児童手当などが中心で、政府による巨額の給付は行っていない。ただ、民間企業などで1億ウォンを支給する動きがあることなどから、調査を実施した。
 仮に1億ウォンの支給案を導入すると、年間約23兆ウォン(約2兆6000億円)の財政負担が予想される。韓国の24年の国家予算は657兆ウォン(約74兆円)のため、3.5%を占めることになる。それでも調査では63.6%が財政投入が必要と回答。「政府が負担するべきではない」は36.4%にとどまった。
 韓国では2006年から21年までに280兆ウォン(約32兆円)を対策に費やしたが、効果は上がっていない。23年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数)は0.72(暫定値)で、22年に1.26だった日本よりも低い。
 尹錫悦政権は思い切った少子化対策を模索しているが、今回の調査は国民のニーズを把握することが目的で、すぐに施策になるわけではない。ただ、「(結果は)これまでとは次元の違うアプローチが必要だということを示している」(韓国紙・朝鮮日報)との指摘も出ている。
 アンケートは4月にオンラインで実施し、1万3640人が答えた。回答者のうち男性は42.8%で、女性は57.2%。既婚者は58.8%だった。 (C)時事通信社