医学トップの視座

リサーチマインドを育成
テクノロジー革命時代の医学教育-日本医科大学

 日本医科大学は1876年に設立された医師養成学校「済生学舎」を前身とする日本最古の私立医科大学だ。開学以来140年以上の歴史の中で、細菌学者の野口英世をはじめとした名だたる医学者を世に送り出してきた。その精神はあらゆる分野で引き継がれているが、特に救急医療分野の充実ぶりは全国でも突出している。2018年には新病院がグランドオープンし、学ぶ環境も大幅に改善した。弦間昭彦学長は「学ぶ意欲のある学生には、早くから研究に取り組む機会を作っています。伝統を引き継ぎ、愛と研究心を持った医師に育つよう、幅広く学んでいただきたい」と話す。

eラーニング学修支援システム

 ◇ICTを活用

 全国の大学医学部は、カリキュラムの国際認証(分野別認証)に向け、臨床実習時間を大幅に増やすなどの対応に追われている。日本医科大学は、この流れにいち早く対応。トライアル段階の14年に受審、認証を受けた。

 弦間学長は「新しいカリキュラムで学んだ学生が、もう5年生になって臨床実習を行っています」と強調する。実習時間が増えた分、効率よく学習内容を消化していく必要がある。日医大ではICT(情報通信技術)を駆使することで、学生の学修の自由度を高め、さらに学ぶ意欲を持った学生が、研究にも時間を費やせる環境を整えた。

 「例えば学習支援システムでは、教科書、教材等がすべてネット上で見られるようになっています。臨床実習を行う際に、積極的に学修する習慣が必要ですが、自然に予習復習をしなければいけないようなシステムを作りました」

 ◇優秀者は講義出席が不要

 電子黒板を50台、各教室に配置し、小グループでの学習で活用している。「小グループに分かれても、他のグループが何をしているかを共有できる。将来的には、その情報を集積して、学生の学修状況をAIで分析できるようにしたいと考えています」

Big Pad(大型電子黒板)

 各大学で導入が進められている学生用電子カルテについても、独自の取り組みで積極的に活用している。「学生が書き込んだ内容が流失すると、思わぬトラブルになる危険性がありますから、高額な予算を投入して、安心して使えるシステムを構築しました」

 講義に関してはすべて録画され、eラーニング(インターネットを利用した学習形態)として活用できる。繰り返し学習することで、学習内容の定着が期待できる。

 また、毎年十数人程度の成績優秀者に関して、試験をパスすれば講義に出席しなくてもよい制度を導入。「講義に出ない時間を使って、留学してもいいし、他大学の研究室で研究してもいい。意欲のある学生には、さらに学ぶチャンスが生まれています」

 ◇異分野の研究にも道

 このほか、卒業後の医学研究への動機付けや意欲を養うために、学生のうちから本格的な研究活動に参加する機会を設けている。東京理科大学、早稲田大学、中央大学など他大学と広く連携するとともに、異分野でも研究できるカリキュラムを構築している。

 「ロボティクス(ロボット工学)やバイオインフォマティクス(ゲノムなど生物学のデータを情報科学の手法で解析する学問、技術)などの分野で、将来の医工連携を支える人材を育成していきたいと思っています。まだ始めて2年ほどですが、積極的に研究発表をする学生もいて、少しずつ実を結んできています」

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