医学生のフィールド
救急医療を見て、やって、教えて学ぶ
~東京医科歯科大「TESSO」~
――他の活動についても聞かせてください。
臼井さん 先述のイベント開催に向けて知識を身に付けるため、普段は部員みんなで内科救急とICLS、JATECに重点を置いた勉強会を行っています。また、その知識を生かして、さまざまな大会にも出場しています。
例えば、「学生メディカルラリー」という全国的な大会があります。実際の災害や救急現場を想定した場面で、制限時間内に模擬活動を行い、治療の知識や技術を競う大会です。
TESSOからは、個人単位で他大学のメンバーとチームを組んで出ています。
医学生、看護学生だけでなく、救命士科の学生も参加しているため、出場したTESSO部員は、救命士科の学生とチームを組んで学んだものを部内でシェアしてくれています。
また、全国医学生BLS選手権という、各大学から5人1チームを出して、BLSの技術を競う大会があります。
「目指せカリスマ救急医!夏季セミナーin医科歯科」の全体会
15年から開催されていて、関東からは毎年10大学ほどが出場しています。
この大会ではQCPRという、胸骨圧迫の速さと深さを点数化して評価してくれる特別なマネキンを用います。
フェイスシールド部門やポケットマスク部門などの部門賞で、TESSOの部員は何度か入賞経験がありますが、総合優勝はまだないので、今後の目標の一つです。
高橋さん 部員が個人で外部のイベントやセミナーに参加し、そこで得た知識や情報を部内に持ち込み、部員に広めるという活動も行なわれています。
医療従事者ではない、一般の方の救命参加率を上げようという外部の「PUSHプロジェクト」というのがあり、私を含め、複数の部員が携わっています。
PUSHプロジェクトは、45分の授業を通して、一般の方にも、目の前で急病人が出たら、心肺蘇生ができるようになってもらうことを目標としています。
PUSHプロジェクトの情報や活動を、TESSOの部員に紹介したり、興味を持ってくれた部員をPUSHプロジェクトの団体に紹介したりもしています。
ですので、外部での活動は個人の活動であると同時に、部の活動でもあるというスタンスをTESSOは取っています。
◇看護や検査技術の学生も
――部員の専攻ごとの構成を教えてください。
高橋さん 割合としては医学科が8割と一番多く、看護学専攻と検査技術学専攻の学生がそれぞれ10%程度を占めています。多くはないですが、歯学部の部員も2、3学年に1人程度います。
――看護や検査技術の学生も一緒に学ぶのですね。
高橋さん 病院にいる医療スタッフの皆さんが急変患者に立ち会う可能性があるので、看護学専攻や検査技術学専攻の学生も、興味を持って活動に参加してくれています。
副部長の高橋さん
TESSOでは、保健衛生学科と一緒に看護ワークショップも開催しています。
本学の医学科は、4年生になるまで、身体の仕組みや病気に関しては重点的に学びますが、患者さんの容態を把握する方法については、練習する機会がなく、実際に患者さんと接することはほとんどありません。
病床から車椅子まで、患者さんの様子を一番間近に見ているのが看護学生なので、彼らの学びを見たり、異なる観点から交流したりできるメリットもあります。
――学年構成はどうなっていますか。
臼井さん 3年生から6年生までは各学年、約10人ずつ在籍しています。
細かい知識を詰め込むよりも、体を動かして覚えよう、というのが部の方針なので、1、2年生も大勢います。
――他大学との交流もありますか。
高橋さん 最近、増えてきています。昨年から東京慈恵会医科大学の救急サークル「慈恵CPRスタディグループ」と合同ワークショップを開催しています。
順天堂大学の医学勉強サークル「j-Meg」とは、ワークショップの合同開催はしていないのですが、TESSOの勉強会に個人的に来てもらったりして交流を深めています。
(2019/05/16 11:57)