治療・予防

心不全患者でも栄養管理が重要
体重減少が悪化のリスク要因に

 栄養を十分吸収、利用できず、筋力低下や体重減少を来す「カヘキシー」と呼ばれる状態は、心不全患者の経過を悪くする要因になることが分かってきた。従来、心不全の治療では体重増加を抑えることが重要とされてきたが、カヘキシーが認められる場合は、低栄養などを予防する栄養管理が大切になる。

 ▽患者の14%がカヘキシーを合併

 カヘキシーは「悪い状態」を意味するギリシャ語に由来する。「悪液質」とも呼ばれ、末期のがん患者などでも見られる。過去20年の研究で、カヘキシーは心不全患者でも認められ、生存期間を短くするなど心不全患者の経過を悪化させるリスク因子になることが明らかにされた。

 日本心不全学会は昨年10月、医療関係者向けの指針として「心不全患者における栄養評価・管理に関するステートメント」を発表し、心不全治療における栄養管理の重要性を指摘した。作成メンバーの一人である聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院(横浜市)循環器内科の鈴木規雄医長によると、カヘキシーとは慢性的な病気になって体が衰弱し、栄養をうまく摂取・吸収できなくなった結果、筋力低下、体重減少を生じ、身体活動能力が低下した状態を指す。

 通常の栄養不足とは異なり、脂肪量だけでなく筋肉量も明らかに減る。鈴木医長が同院で通院治療を行っている心不全患者を調べたところ、14%にカヘキシーが認められた。「心不全が長く続いている、または進行している人、特に高齢者で多く見られた」と言う。

 ▽効率的に栄養を取る工夫を

 カヘキシーを生じる原因は「心不全が食欲不振、炎症、タンパク質を分解・合成する仕組みの異常、貧血などを引き起こし、脂肪や筋肉を減少させるためと考えられています」と鈴木医長。カヘキシーに対する薬物治療はまだ研究段階にあるが、「治療で心臓の機能を回復させるとともに、『痩せないための栄養管理』を行うことが予防や改善につながります」。

 心不全患者でカヘキシーを合併している例では、高タンパクの食事、サプリメントなどで栄養を効率的に取ることが重要だという。鈴木医長は「低栄養状態の患者は、エネルギー量を多く取ることも必要です。また、心不全患者では塩分を取り過ぎると心臓に負担がかかるため、塩分制限が大切ですが、過度な制限で食欲が落ちることがあるので、主治医に相談してほしい」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)

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