治療・予防

突然の激しい腹痛―急性膵炎
大量飲酒が引き金に

 急性膵炎(すいえん)は、消化酵素を含む膵液が膵臓そのものを溶かし、強い炎症を生じる病気だ。近年、患者数は増加している。みぞおち付近の上腹部の激しい痛み、発熱、吐き気や嘔吐(おうと)などを引き起こす。膵臓以外の臓器にも炎症が広がり、重症化して死に至るケースもある。東京医科大学病院(東京都新宿区)消化器内科の糸井隆夫主任教授に経過や治療について聞いた。

 ▽膵液が膵臓を溶かす

 膵臓には、消化酵素を含む膵液を作り、膵管を通じて十二指腸に送って食べ物の消化や吸収を促す働きと、血糖値を下げるホルモンであるインスリンを血液中に分泌し、血糖値を調節する働きがある。

 膵液は、本来は臓器を傷つけることはないが、さまざまな原因で流れが悪くなって膵管が詰まると、膵臓内で活性化する。そして、膵臓自体を溶かし、強い炎症を生む。原因として多いのは、大量飲酒と胆石だ。

 飲酒が膵炎を引き起こす理由は明確に分かっていないが、膵液が過剰に分泌されて膵管の出口の筋肉が緩んだり、けいれんしたりして、膵液の流れが滞る可能性が指摘されている。胆石は脂肪の消化を促す胆汁の成分が固まってできるものだが、膵管は十二指腸への出口部分で胆管と合流するため、胆管内を移動してきた胆石が合流部に詰まると、膵液がせき止められて膵臓内にとどまって、膵臓自体を溶かしてしまう。

 ▽重症化で死に至る例も

 急性膵炎が疑われる場合、発症早期とされる72時間以内に、治療と並行して血液検査やコンピューター断層撮影(CT)検査を行う。消化酵素の数値や炎症反応、重症化につながる組織の壊死(えし)の有無を慎重に調べ、感染予防のための抗菌薬投与などを検討するという。

 治療は、「絶飲食による膵臓の安静、炎症を抑えるための輸液の投与、鎮痛薬による痛みの緩和が基本です」と糸井教授。胆石が原因の場合は、胆石を取り除く。

 軽症から中等症の場合は、1~2週間で改善する。重症化すると、膵臓に浮腫や壊死を引き起こし、その影響が全身に波及して、腎不全や呼吸不全などの多臓器不全となり死に至るケースもある。重篤な感染症の合併リスクも高くなり、集中治療室(ICU)で全身状態の管理が必要になる例は少なくない。

 急性膵炎は再発しやすく、繰り返すと慢性膵炎に移行するため、再発予防のために生活習慣を見直すことが大切だ。糸井教授は「暴飲暴食、脂肪分の多い食事や多量飲酒を控え、バランスの良い食生活を心掛けましょう」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)

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