医学トップの視座

学生が伸びる自由な学風
医学研究を実地医療に生かす―大阪医科大学

 阪急高槻市駅の目の前にある大阪医科大学は、西日本で最も古い私大医学部だ。前身は1927年に吉津度・衆議院議員が地元企業の協力を得て設立した大阪高等医学専門学校。大槻勝紀学長は「元は海外に移民した日本人を診療する医師を養成するために設立された大学。国際化と社会貢献を目指して、自由な発想で活躍する学生を育てたい」と話す。 

 「医育機関の使命は医学教育と医学研究であり、またそれらは実地の医療に活かすことで達成される」という建学の精神を受け継ぎ、研究成果を商品開発につなぐ産学連携も盛んだ。2021年には医学部、薬学部、看護学部からなる大阪医科薬科大として新しいスタートを切る。

インタビューに応える大槻勝紀学長

 ◇国試合格率100%達成 

 「全国1位になりました」。今年3月に発表された第114医師国家試験の合格率が、新卒、既卒ともに100%を達成し、大槻学長は喜びを隠せない。 

 過去には合格率が81.5%にまで低下したことがある。大槻氏が学長就任2年目のことだ。「94%以上を維持するという公約だったのに、下から何番目かに落ち込んでしまった。何とかして回復させなければと、必死に原因を探したんです」 

 卒業試験の出題が毎年同じような内容になっていたため、学生は過去問を勉強すれば、いとも簡単に卒業できた。このため卒業試験の成績に問題がなくても、国試に合格できないケースが多発していたことが分かった。 

 「卒業試験の問題をすべて新しくし、さらにこれまで試験がなかった3年と5年(の進級時)でも再試なしの一発勝負のテストを導入しました」 

 全学生にチューターをつけ、「学勢調査」を実施。個々の学生の状況を把握して年に2回、希望する保護者と面談することにした。「私立なので学費もそれ相応。留年すると家計への影響が大きい。中間成績を郵送で保護者に知らせ、早めに対処できるようにしました」 

 これらのテコ入れが功を奏し、医師国試の合格率はV字回復を遂げた。 

 ◇リサーチマインドの基礎 

 医師を目指す以上、医師国試の合格は最低条件だが、それだけが大学の目的ではない。卒業後、リサーチマインドを持った医師になるための基礎として、1年生から研究テーマを与え、研究のルールや医療統計を身に付ける機会を設けている。 

大阪医科大学

 「まず1年で実験ノートが完璧に作れるようにします。記録に残さなければ違法性を問われますし、追試もできませんから。ノートは大学が支給し、提出を義務付けています。実験の成果を4年でまとめ、5年生では学内でプレゼンテーション、最終的には英語で論文をまとめるところまで目指したい。新型コロナウイルス対策で学校が休みなのに、『研究したい』と言ってくる学生もいます」 

 研究の基礎を身に付けておけば、学位取得のときにすぐに役に立つし、医師になってからも、自分でテーマを見つけて研究できるという考えからだ。 

 2019年に日本医学教育評価機構から医学教育分野別評価(国際認証)を受審し、海外の大学との単位互換ができるようになった。単なる短期留学とは異なり、海外の大学で受けた臨床実習が、そのまま日本の大学の単位として認められるため、より内容の濃い体験ができる。 

 国立台湾大学と既に提携しており、他大学にも拡大していく。海外で実習を受けられるよう、学生全員がTOEFLを受験し、30人ほどが留学するという。

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