研修医こーたの出来たてクリニック

感染対策をしているフリ、やめませんか 研修医・渡邉昂汰

 突然ですが、質問です。

 マウスシールドは、 マスクの代替となるでしょうか。

 答えは当然×です。顔に密着しておらず、隙間が空いているので、飛沫を予防することはできません。しかし、テレビ番組や一部の飲食店などでは、あたかも感染に気を配っていますよ、とアピールするかのように、いまだに マウスシールドが使われています。

 このような「感染対策をしているフリ」に疑問を持つ人も、多いのではないでしょうか。

(上)最近はマスクを使う麻生太郎副総理兼財務相=2021年2月撮影(下)マウスシールド姿が目立ったころの麻生氏=20年9月撮影【時事通信社】

(上)最近はマスクを使う麻生太郎副総理兼財務相=2021年2月撮影(下)マウスシールド姿が目立ったころの麻生氏=20年9月撮影【時事通信社】


 ◇フリは身近な所にも

 このような事例は、さまざまな場所で見受けられます。飲食店のマスクマナー違反は、その一つでしょう。

 飲食店入店時にマスク着用を求められるのは、店を利用する全ての人がマスクを持参し、極力長い時間、マスクを着用することで、店内での感染拡大を防ぐためです。

 ところが、 席に着くや否や、入店時には着用していたマスクを外して、会話を始めてしまう人も、多いのではないでしょうか。

 このような「感染対策をしているフリ」が蔓延した結果、クラスターが多く発生し、飲食店は営業自粛をせざるを得ない状況になっています。

 ◇形骸化した対策、もう一度見直しを

 他にも、手指衛生をおざなりにした手袋の長期使用や、次亜塩素酸の不適切利用など、「感染対策をしているフリ」は挙げ始めると、きりがありません。

 一つ一つの感染対策を、なぜ行っているのかを考え、正しい感染対策の重要性を再確認して実践することが必要です。

 コロナ禍の生活様式に慣れ、感染対策が緩み始めている今こそ、目的意識を持って対策をしていた頃に、立ち戻るべきなのではないでしょうか。

 ワクチンが普及し始め、終息というゴールが見えてきてはいますが、もう一度気を引き締めて感染対策を行っていきたいと私は考えています。

(了)


 渡邉 昂汰(わたなべ・こーた) 初期研修医および名古屋市立大学公衆衛生教室研究員。「健康な人がより健康に」をモットーにさまざまな活動をしているが、当の本人は雨の日の頭痛に悩まされている。将来は地域医療に従事する予定。





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