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春から夏にかけてのスキンケア
~紫外線対策やマスク生活での注意点~ 医学博士 福田千晶

 日差しが強くなると肌にまつわる悩みがあれこれ出てきます。また、昨年からマスク生活なので、暑く汗ばむ季節には紫外線対策にプラスして、マスクの蒸れも肌のトラブルに関わります。

化粧水をたっぷり含ませパッティング

 ◇人それぞれのスキンケア法

「マスクをするようになったら、ほとんどメークはしなくなった」という女性は多いようです。メークは美しさのための「上塗り」だけではなく、実は「肌の保護」の役割もあります。メークをさぼると肌の保護もおろそかになるので要注意です。

 スキンケアやメークは生活の一部になっていて、自分なりの方法で行っている人が多いでしょう。そのため、意外に落とし穴というか、「それ、良くないけど…」という方法の人もいるのが現状です。温泉やスポーツ施設に行き、何人もが洗面台に並んで化粧水や乳液を付けたり、メークをしたりする場面があります。そこでは、他人のスキンケア方法やメークのやり方を見ることになります。これが、実に人それぞれで、興味深いものです。

 まず、洗顔後の顔の拭き方でさえ、タオルを小さく畳んで、顔の隅から丁寧に優しく水分を取っていく人もいれば、タオルで顔の中央部の水分を取って終わりにする人、タオルで顔をゴシゴシと強くこすって拭いている人、さまざまです。洗顔後にタオルで顔の肌をこするのは、肌を傷めるのでよくありません。柔らかいタオルで優しく拭きましょう。

 化粧水や乳液を付ける場合でも、コットンに化粧水をたっぷり含ませて、顔をパタパタたたくように、肌にたっぷりと染み込ませる人もいます。手に少量の化粧水や乳液を取り、両手になじませ、その手を顔に一瞬付けて終わりにする人、顔の中央部にだけ付けて、顔の周囲には何も付けていない人もいます。

 ◇化粧水、乳液は丁寧に

 見ていて気になるのは、目をギュッと固くつぶり、化粧水や乳液を付ける人です。目を強くつぶってしまうと、上まぶたとまつげによって、目の下部の下まぶた1センチ位まで覆われてしまいます。ですから、下まぶたの一部は、化粧水や乳液も付きません。また、ギュッと強くつぶった目の周囲には、深いしわが刻まれます。しわの深部には、化粧水と乳液が入りにくいので、本来なら念入りにケアをしたい、目の周囲のスキンケアがおろそかになっているのです。

 頬には丁寧に化粧水を付けていても、鼻の下や口角の両脇などは、化粧水や乳液を付けない人も見掛けます。目の周囲と口の周囲は、しわができやすいので重点的にケアをしておきたい場所です。

 化粧水や乳液だけではなく、日焼け止めクリームも丁寧に付けたいものです。外出時は、顔の下半分はマスクで覆われているので、日焼けはあまり気にしない人もいます。でも、顔の上半分と耳の前方にはマスク無しの時と同じように紫外線は降り注いでいます。また、マスクを通しても、少しは日焼けすることもあるので、日焼け止めクリームは、マスク生活でも大切です。

マスク生活でもスキンケアは大切

 ◇トータルな紫外線対策を

 私がスキンケアや日焼け止めクリームを塗る際、目や口の周囲と同様に心掛けているのは、耳たぶと耳の周囲です。耳たぶは、加齢に伴い、しわが目立つ場所でもあります。若い時はふっくらツヤツヤしている耳たぶも50歳ごろからは、ややしぼんで細かいしわができ始めます。そこにピアスやイヤリングをすると、アクセサリーの輝きとの対比もあって、そのしわがとても目立ち、年齢を感じさせます。実は、要注意の部位なのです。

 若い頃に紫外線をたくさん浴びて小麦色の肌だった人は、耳の前方に縦に幾つものしわができてきます。顔の皮膚は長年の人生の間には伸びてしまい、余った皮膚が顔の下方と外側に寄せられて、たるみやしわになるようです。紫外線対策は、どの季節でも必要ですが、特に春から夏にかけてはしっかり行いましょう。もちろん日焼け止めクリームやファンデーションで紫外線から肌を保護するだけでなく、帽子や日傘を使用したり、ビタミンCを不足しないように摂取したりと、トータルで考えることも大切です。

 ◇マスク生活でもさぼらずに

 昨年も、気温が上がってくるこの季節から「マスクをしていると顎にニキビができる」「マスクをするようになったら、鼻や口の周りに皮膚炎ができた」という悩みを人間ドックの受診者の皆さんからよく聞きました。マスクをすると蒸れやすく、ニキビや皮膚炎の原因にもなります。さらに、原因になりそうなことも含めて詳しく話を伺うと「朝は日焼け止めや下地クリームは付けるけど、マスクをしているので、ファンデーションやチークは付けないし、夜も簡単な洗顔だけで、今まで行っていたクレンジングはさぼっている」という人が多いことに気付きました。

 日焼け止めや下地クリームは、洗顔だけでは落ちにくいので、クレンジングは必須です。また、クレンジングや拭き取り化粧水は、上塗りしたファンデーションやチークだけでなく、肌の汚れも落とします。ですから、マスク着用でメークをかなり簡略化しても、クレンジングは省略せずに行いましょう。

 男性はマスクをすることで、ひげそりを毎日はしなくなる人もいます。または、この機会にひげを生やしてみようと試みることもあるかもしれません。でも、マスクで蒸れる上に、ひげが生えていると、汚れや脂が皮膚とひげに付着して不潔になりやすく、肌トラブルの原因にもなります。ついさぼりたくなるクレンジングやひげそりは、マスク生活ではいつも以上に大切になるのです。

 肌トラブルでも、なかなか治らない場合は、接触性皮膚炎など他の皮膚疾患や膠原(こうげん)病など全身的な病気の症状の一つかも知れません。皮膚科の受診をお勧めします。

 紫外線が強くなり、肌にも負担がかかるこれからの季節、しかも、今年はマスク生活で肌にもストレスがかかっています。せめて肌の保護やスキンケアはさぼらず、肌をいたわってあげましょう。肌の調子が良いと気分も明るく元気になれますからね。(了)

福田千晶氏


 ▼福田千晶(ふくだ・ちあき)

 慶應義塾大学医学部卒業、医師として東京慈恵会医科大学病院リハビリテーション科勤務を経て、クリニックでの診療と産業医業務を行う。勤務医時代に、エッセーや論文のコンテストでの受賞などをきっかけに執筆活動も開始し、健康に関するテーマで著書や監修書は多数。

 日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医、日本人間ドック学会人間ドック健診専門医、日本リハビリテーション医学会専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本体力医学会健康科学アドバイザー。

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