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空前のサウナブーム、「ととのう」ための注意点
~心臓や血管への負担減らす工夫を~ 医学博士 福田千晶

 近年、空前のサウナブームと言われ、2021年の「新語・流行語大賞」には、サウナ愛好者が使う「ととのう」という言葉がノミネートされたほどです。心身共にリフレッシュできるのが大きな魅力ですが、利用する時は体に負担をかけない工夫も必要です。

サウナ室に入る前にお風呂で体を温めておく=大津市の「都湯」

 ◇「サウナでととのう」とは?

 サウナは100度近い高温環境の部屋で過ごすことになります。サウナで温まると、体内では血行が良くなります。体の中で必要な酸素や栄養分は血液によって運ばれ、老廃物も血液によって運び去られます。ですから、血行が良くなることで体のコリやハリが解消されたり、疲れが取れたりするのは医学的にも説明がつきます。

 サウナの後は普通にシャワーを浴びたりする人もいますが、「ととのう」ためには「サウナ→水風呂→休憩」をワンセットにして、これを3セットくらい行います。こうすることで「なんとも言えない快感」を感じられると言われています。

 高温のサウナでは、強烈な熱さの刺激があります。その後の水風呂では、強い寒冷刺激にさらされます。どちらも一種の極限的な状況と体では判断しています。さらにその後で、リクライニングチェアなどに横たわって休憩することで、心身は一気にリラックスします。その極限とリラックス、この差によって心身はリセットされて、まさに「ととのう」となるようです。

 サウナに関しては、医学的にはまだ判明していないこともいろいろありますが、ブームの到来を機に研究が進むことが望まれます。

サウナの後の水風呂は心臓や血管に負担がかかることも

 ◇利用する時の注意点

 サウナは100度近い高温の室中に入り、その後は冷たい水風呂に入るわけですから、体が温まるメリットがある一方で、心臓に負担がかかる危険もあるのです。

 一般の人は、サウナ室に入る前に、お風呂に入って少し体を温めておくことで、急に熱いサウナ室に入るよりも負担を減らせることができます。

 サウナ室の中の場所選びも大切です。座る席が階段状になっている場合、高い段の席は、より高温になります。またヒーターの前の席も熱くなりがちです。ですから、最初はヒーターから離れた場所の下段の席に座り、慣れてきてもっと熱い方がよければ、上段やヒーターの前の席に徐々に移動しましょう。

 入る時間の目安としては、汗が出てくる程度から始めるとよいでしょう。サウナに熟練している人は、いつもかなり長時間入っていたりします。自分とサウナの相性をよく知っていて、「ここのサウナなら10分間がよいけれど、隣町にあるサウナなら12分」というように、適した利用の仕方を知っているのです。

 その後は水風呂に2分程度入るのが一般的です。水風呂に入ることで、今度は腕や脚などの血管は熱を逃さないように収縮して細くなります。この時、血圧が急激に変動しやすく、さらに腕や脚から心臓に戻される血液も一気に増加して、心臓はいつもより多くの血液を強く押し出すことなどにより負担が大きくなります。しかも汗をかいて脱水気味で、人によっては血液がドロドロになっている時ですから、心臓と血管には負担になります。

 健康な人であれば心臓や血管に順応性がありますから、負担が増えても対応できます。しかし、心臓疾患のある人、高血圧や糖尿病の人、心臓の予備能力が乏しくなりがちな高齢者や虚弱体質の人は、サウナから水風呂は要注意なのです。飲酒の後、疲れている日、体調不良の日なども気を付けるべきでしょう。サウナに入るのは短時間にして、その後は水風呂ではなく、ぬるめのシャワーを浴びて済ますなど、負担を減らす工夫が必要です。

大自然を満喫できる田沢湖畔のテントサウナ。体が温まったら湖へ=秋田県仙北市(冬季期間は休止)

 ◇十分な水分補給を

 サウナでは大量の汗をかくので、サウナの前後には十分な水分補給が必要です。個人差がありますが、500ミリリットルくらいの汗をかくと思って水分を取っておくことをお忘れなく。

 サウナでやめてほしい行為としては、無理して長時間入ることです。友人同士で我慢比べをするのは危険です。また、サウナ室内にある時計を見て、「17時30分までは頑張ろう」と自分にノルマを課すのも厳禁です。砂時計が設置されていても、砂が落ちるまで入っていないと効果がないわけではありません。

 また、「普段の運動不足をサウナで補う」という人がいるのも気になります。運動もサウナも汗をかきますが、別物です。運動は筋肉を使うことで体内で熱ができますが、サウナはからだの外から熱を与えられます。それぞれのメリットとリスクがあります。「日頃の運動不足や不摂生をサウナで解消する」のではなく、むしろ「サウナを楽しみたいから、普段の健康管理もしっかりしておく」と考えてください。

 「サウナで痩せる」ということにも大きな期待はできません。汗をかきますから、サウナの直後は汗で失われた水分の重さだけ体重は減ります。しかし、水を飲めばほぼ戻ります。ですから、「きょうは1キロ痩せるまでサウナに入っていよう」と頑張って無理しても、残念ながら大きな減量は望めません。

田沢湖畔のテントでサウナを楽しむ若者ら=秋田県仙北市(冬季期間は休止)

 ◇サウナ帽はお勧めアイテム

 サウナ愛好者の間では、サウナ帽(サウナハット)を持参するのは常識です。サウナ帽は頭と耳を覆うことが必須で、顔の一部まで覆うものもあります。素材はウールフェルトなどで、吸湿性に優れて肌触りが良いものが好まれます。

 サウナ帽は熱伝導率が低いので熱くなりにくく、かぶることで頭部を高温から守り、頭がクラクラすることを防いでくれます。さらに、耳が熱くなってつらくなることも防ぎます。サウナ室は高温で乾燥しているので、頭皮を傷めたり、髪の毛が乾燥したりします。サウナ帽は頭髪と頭皮の保護にも役立ちます。

 いろいろな色やデザインのものがありますから、お気に入りのサウナ帽を入手するとサウナの楽しみも倍増するかもしれません。サウナ帽がない場合は、タオルで頭や耳を覆うことも良い手段と言えます。

 3月7日は「サウナの日」です。その頃までに新型コロナウイルス感染が落ち着き、サウナに行きやすい状況になって、「ととのう」を満喫できればうれしいですね。(了)


福田千晶氏

 ▼福田千晶(ふくだ・ちあき)
 慶応義塾大学医学部卒業、医師として東京慈恵会医科大学病院リハビリテーション科勤務を経て、クリニックでの診療と産業医業務を行う。勤務医時代に、エッセーや論文のコンテストでの受賞などをきっかけに執筆活動も開始し、健康に関するテーマで著書や監修書は多数。

 日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医、日本人間ドック学会人間ドック健診専門医、日本リハビリテーション医学会専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本体力医学会健康科学アドバイザー。

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