治療・予防

軽い動作で息切れや疲れ―肺動脈性肺高血圧症
~女性は妊娠・出産に影響も(国際医療福祉大学三田病院 田村雄一教授)~

 心臓から肺に向かう肺動脈が狭まり、肺の血圧が上昇する肺動脈性肺高血圧症(PAH)。軽い動作でも息切れや疲れやすさなどの症状が表れ、若い女性の場合は妊娠・出産に影響が出るケースもある。国際医療福祉大学三田病院(東京都港区)肺高血圧症センターの田村雄一教授に聞いた。

肺動脈の先の方では内部が狭まり、肺の血圧が上昇

 ▽妊娠や出産はリスク

 PAHは膠原(こうげん)病や肝臓病、遺伝的要因が影響しているケースもあるが、多くは原因が分からない。田村教授によると、国内には潜在的な数字を合わせて患者は5000人程度で、治療薬の登場で寿命が延び、患者数は増加傾向にあるという。

 その大半は女性で、妊娠・出産が可能な10~30歳代で発症する人も少なくないが、田村教授は「原則として妊娠は勧められません」と話す。妊娠中は心臓への負担が通常時よりはるかに大きくなる他、胎児が低酸素状態になる危険が高まるためだ。

 また、治療で使う薬の多くは胎児に奇形を引き起こす可能性が否定できず、休薬せざるを得ないこともある。避妊などの生活指導に加え、結婚時にはパートナーにもよく説明して理解を得ることが不可欠となる。

 ▽育児は無理なく

 妊娠中に発症した場合、初期であれば妊娠の継続は難しい。心臓への負担が増す妊娠後期に発症した場合は、使用可能な治療薬への変更が検討されるほか、出産時のいきみを避けるため帝王切開が選択される。

 子どもを望む患者にとって妊娠・出産を諦めることはつらいが、「母子の命が危険にさらされ、出産に至ったとしても子どもを育てられない可能性があります。そこをよく考えなければなりません」と田村教授。心の整理には、医師などによるカウンセリングを利用する方法もある。

 産後に発症し、子どもを抱き上げると息切れが生じる人もいる。特に発症直後で症状のコントロールが難しい時期は、全ての育児をしようとせず、心臓への負担を減らすことが重要となる。例えば貧血になりやすい授乳を減らし、ミルクを活用する。

 「思うように子どもの相手ができず悩む方もいますが、家族と一緒に病気と付き合う気持ちで、パートナーや両親に体のつらさを伝えて協力を得るようにしてください」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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