治療・予防

診断に苦慮する難病―肺高血圧症
呼吸困難以外に乏しい症状

 難病として知られる肺高血圧症は、多くの場合、体を動かしている(労作)時や安静時の呼吸困難を初発症状とし、他の特徴的な所見は乏しい。心臓や肺の病気でも主な症状が呼吸困難であることが多いため、肺高血圧症と一般的な心臓や肺の病気とを区別することは容易ではない。国立循環器病研究センター内科に長く勤務した大阪なんばクリニック(大阪市)循環器内科の中西宣文医師に肺高血圧症について詳しく聞いた。

 ▽軽い動作でも息切れ

 心臓は、全身に血液を送る体循環を左心室で、肺に血液を送る肺循環を右心室で行っている。右心室から送り出された血液は、肺動脈を通って肺に至り、二酸化炭素と酸素の交換を行ってから、動脈血として肺静脈を通って左心房に送られる。通常、肺動脈の平均血圧は20mmHg以下で、これが25mmHg以上になると明らかな肺高血圧と診断される。

呼吸困難が出現。それ以外の特徴的な症状は乏しい

 さまざまな原因で肺の血管が硬くなると、肺動脈の血圧が上昇し血液循環が悪くなる。すると肺で取り込む酸素の量が減り、軽い動作でも息切れや呼吸困難を起こすようになる。また、肺に血液を送り出す右心室の負担も増加する。中西医師は「この状態が続くと右心室の働きが低下して右心不全となり、さらに肺へ送る血液が少なくなります。そのため軽い労作でも呼吸困難が生じたり、場合によっては意識を失ったりするのです」と説明する。

 ▽服薬で肺血圧を降下

 肺高血圧症は、その原因から次の五つのタイプに分類される。〔1〕肺動脈硬化の原因が不明の場合〔2〕左心房や左心室の病気が原因となる場合〔3〕慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)など肺の病気が原因となる場合〔4〕肺動脈に詰まった血栓が溶けずに固くなった場合〔5〕上記の〔1〕~〔4〕に分類することができない場合―だ。〔1〕と〔4〕は厚生労働省の難病に指定されている。

 肺高血圧症が疑われる場合、心電図や心エコー検査、血中の酸素濃度の測定を行う。肺高血圧症の可能性が高い場合には、カテーテルという細い管を肺動脈に挿入して血圧を測定し診断を確定する。

 治療はそれぞれのタイプに合わせて行われるが、肺動脈を拡張させる特殊な薬が中心となる。血栓が原因の場合には、カテーテルで肺動脈を広げる治療や手術ができる例もある。〔1〕のタイプで薬に反応せず、症状が重い場合には、肺移植が行われることもある。

 「心臓や肺に病気があり治療を受けている人で、急激な体力の低下や、軽い動作でもひどく息が切れるといった症状が悪化し、その原因が不明である場合には、肺高血圧症を合併している可能性があります。担当の医師に相談して、詳しい検査を受けてください」と中西医師は話している。(メディカルトリビューン=時事)

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