薬を組み合わせて軽減―帯状疱疹後神経痛
~皮膚症状治まってもチクチク、ピリピリ(愛知医科大学病院皮膚科 渡辺大輔教授)~
顔や胸などに小さな水膨れがまとまって表れ、痛みを伴う帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、皮膚の症状が治っても痛みが残ることがある。「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれ、夜も眠れないほど痛い場合もある。愛知医科大学病院(愛知県長久手市)皮膚科の渡辺大輔教授に聞いた。
▽神経が損傷
帯状疱疹は、子どもの頃にかかった水痘(みずぼうそう)のウイルスが原因で、主に50代以降に発症する。水痘が治った後、ウイルスは脊髄などに潜伏しているが、加齢などによる免疫低下をきっかけに再び活動を始め、知覚神経を伝って皮膚に達する。その際に生じる急性炎症で皮膚の赤み、水膨れ、痛みが表れる。
抗ウイルス薬とロキソプロフェンやアセトアミノフェンなどの消炎鎮痛薬を使えば、皮膚症状や急性期の痛みは3週間ほどで治まるが、10~25%の人は3カ月たっても痛みが消えない。これが帯状疱疹後神経痛。炎症で神経がダメージを受けたためという。
症状はさまざまで、チクチク、ピリピリする感じから、焼けるような痛み、電気が走るような痛みなど。「昼も夜も痛みが続く人もいます」(渡辺教授)。高齢者、皮膚症状が重症、急性期の痛みが強い場合は、リスクが高い。
▽2~3カ月は続けて
この10年ほどで、帯状疱疹後神経痛の飲み薬の選択肢が広がった。例えば、神経細胞の興奮を抑えるプレガバリンとミロガバリンで、2~3カ月続けるうちに鎮静化することが多い。どちらもめまいなどの副作用があるため、医師の指示で段階的に量を増やす。
消炎鎮痛薬とは異なる仕組みで効く「オピオイド鎮痛薬」というグループも、薬の種類が増えてきた。以前から使われている薬として、神経を保護するビタミンB12製剤、痛みの信号をブロックする抗うつ薬などがある。
これらを組み合わせて、痛みを最小限にコントロールしながら神経の回復を待つのが基本方針で、多くの人は徐々に痛みが取れて薬が不要になるという。
渡辺教授は、痛みにとらわれ過ぎないようにとアドバイスする。「楽しいこと、自分の好きなことに熱中すると忘れることもあります。風呂にゆっくり入ったり、好きな飲み物でほっとしたりする時間を大切にしましょう」(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/07/05 05:00)
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