受診する科が分からないとき
~幅広く診る総合診療科(北海道家庭医療学センター 草場鉄周理事長)~
体の具合が悪いが、何科にかかればよいのか分からず困ることがある。「総合診療科」はそんなときの受診先だ。日本プライマリ・ケア連合学会理事長で、北海道家庭医療学センターの草場鉄周理事長(総合診療専門医)は「診療科の垣根を越え、急性期から慢性期まで幅広く診療するのが総合診療科です」と話す。
幅広い知識と診断・治療に精通する総合診療専門医は約1000人
◇専門医へ引き継ぎも
総合診療科は大学病院など大きな病院内の診療案内などで目にするが、どのような病気や症状を対象にしているのかイメージできる人は少ないだろう。
「幅広い健康問題について最新の知識を持ち、その診断や治療法に精通しているのが総合診療科の医師の特徴です。科学的に証明された、最も効果の高い医療を提供します」と草場理事長は説明する。総合診療科では、日常的に見られる疾患「コモンディジーズ」の8~9割を診断・治療でき、専門的な検査や治療が必要な場合はそれぞれの専門医に引き継ぐという。
2018年に始まった新専門医制度では、総合診療は基本領域の診療科の一つになっている。医師国家試験に合格し、初期研修後、総合診療の専門研修を受けた医師に総合診療専門医の資格が与えられる。現在、総合診療専門医の数は全国で約1000人だ。
◇家庭医を探す
大規模病院の総合診療科以外では、診療所やクリニックの「家庭医」(かかりつけ医)が総合診療を担うケースがあるが、あまり知られていない。医療機関が標榜(ひょうぼう)できる診療科目は医療法で定められており、総合診療科や家庭医は、大学病院などの院内では掲げられるが、一般の医療機関(診療所やクリニックなど)が標榜できる診療科目として認められていないためだ。
草場理事長は総合診療に関わる身近な医師の探し方として、普段から気になっている健康問題を、近くの医療機関で相談することを勧める。
「さまざまな診療科の病気を診るだけでなく、病気の予防や健康増進の手だて、さらには生活背景や家族にも配慮してもらえるようなら、総合診療を行う医師としての力量があると考えてよいでしょう。医師と患者の信頼関係ができれば、持病が悪化したときなども安心です」
日本プライマリ・ケア連合学会では総合診療が可能な医師をプライマリ・ケア認定医および家庭医療専門医に認定しており、現在、全国に約5200人に上る。同学会のウェブサイトの「認定医一覧」で公開している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/01/15 05:00)
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