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脳梗塞を予防する=前兆を早くつかめ

 ◇前兆段階で治療

 急性期の治療法が充実したとはいえ、早期に発見して治療する方が望ましいのは明らかだ。もっとも症状が急激に出る心原性脳塞栓症の誘発要因の一番は心房細動であり、次に梗塞部分が大きくなるアテローム血栓性脳梗塞には「一過性脳虚血(TIA)発作」と呼ばれる予兆に当たる症状が出ることもある。東京医科大高齢診療科の馬原孝彦准教授は内科の立場から、この前兆段階での治療の重要性を強調する。

 まず心房細動がある患者は、心不全高血圧糖尿病などを一つでも併発いているか、併発症がなくても75歳以上であれば血栓ができにくくなる薬を予防のために服用する(ことが勧められている。

 一方、「左右片側の顔面や手足が動かなくなる」「片方の目が見えなくなったり、物が二重に見えたりする」「言葉が出なくなる」など脳梗塞と同様の症状が起き、短時間、通常は10分以内で消えるTIAが起きた場合はどうするか。

 「研究によるが、TIA発症後90日以内に脳卒中が起きる確率は4~20%。発症者の半数は48時間以内に起きている。また、TIAのような症状さえも起こさない無症候性脳梗塞もあり、やはり本格的な発作の前兆と言える」と馬原准教授は警鐘を鳴らす。

馬原孝彦 東京医科大准教授
 これらの予兆があった場合は脳血管系の専門医の診察を受け、必要に応じて抗血栓薬などの薬を服用することになる。この点について同准教授は「脳梗塞患者も高齢化が進み、さまざまな持病を持っている人も多い。TIAの場合でも、一時的に意識を失う高齢者のてんかんの発作や急激な血圧の低下、不整脈などと鑑別しなければいけない。逆にTIAの診断を進める中で不整脈糖尿病などの併発症を発見することもある。TIAが疑われた場合、症状が消えたからといって安心せず、脳血管系の専門医の診察を必ず受けほしい」と注意する。

◇年に1回は検査を

 警戒が必要なのは、アテローム血栓性脳梗塞の発症リスクが高まるTIA発病後の数日間だけではない。「血栓が一時的に血管を詰まった状態になったということは、体内の血管のあちこちで同様の状況が起きている可能性が高い。その原因が狭心症なら循環器内科での治療が、それ以外なら血栓ができにくくするための薬の服用など予防が必要だ」と同准教授は言う。

 このためには高血圧や血栓の原因となる血中脂質などの日常的な管理に加え、年に1回は血管に張り付いたコレステロールの状態が分かりやすい頸動脈の超音波エコー検査を含めた専門医による経過観察が有効。こう指摘した上で、「TIAもある意味で十分怖い。他の脳梗塞と同じように再発防止のための治療が必要です」とアドバイスしている。

(喜多壮太郎)

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