ヒポクラテスたちへDr.純子のメディカルサロン

「私の歩いている道」 小澤一史 日本医科大医学部長

 2005年、縁あって日本医科大の解剖学・神経生物学の大学院教授に選ばれました。教授就任が決まったときに河田教授とともにぐっと涙をこらえて握手した時の感触は忘れられません。

 このように、私の歩いている道の特徴は、いつも自分の意志、決心を持って歩いていること、そして良き師に恵まれてきたことだと思います。

 若い医師、研究者の皆さんにはしっかりと自分の意志、考えを持って歩み、良き先輩、師と巡り合いながら充実した医師、医学者としての人生を歩んでほしいと切に願う次第です。(日本医大大学院医学研究科解剖学・神経生物学分野 大学院教授)


日本医大大学院教授に選ばれ、河田光博教授(右)らと祝杯
 小澤一史教授は学生から「鬼教授」として恐れられています。試験は基準に1点でも足りなければ不合格で情状酌量は一切なし。講義は開始時間ぴったりに教室の鍵を掛けるため、少しでも遅刻すると入れません。実習で観察スケッチを早めに終えた学生が帰らせてほしいと要望した際には、「とんでもない。観察が終わるということはあり得ない。見逃したところがないかどうか、ぎりぎりまで観察しなさい」と叱り付けたなど、逸話は尽きません。
 そんな厳しい小澤教授ですが、その講義を受けた一人、葉田甲太さんは後に映画化もされた著書「僕たちは世界を変えることができない」の中で、「解剖学の小澤教授。あの時は悪魔だったけど、今考えれば、天使だったのかもしれない」と記しています。
 医学生の頃は卒業すればもう少し楽になるかも、と思うのですが、研修医はさらに厳しくなり、一人前になると仕事はよりハードになります。それゆえ、医学に携わる者の厳しさを学生時代に徹底的にたたき込まれることは重要で、小澤教授の教えのありがたみを皆、後年実感するのかもしれません。
 ちなみに映画「僕たちは…」では、小澤教授をモデルにした役を俳優の阿部寛さんが演じました。小澤教授は奥さまから「それは詐欺だ!」と大笑いされたそうです。(海原純子)

Dr.純子のメディカルサロン ヒポクラテスたちへ