話題

肝硬変・肝がんを予防する=ウイルス性以外の障害に注意

 ◇深刻なアルコール性

 一方、アルコール性肝機能障害はより深刻だ。肝機能障害が進めば、肝機能の低下から栄養の摂取効率が低下し、体重の減少や筋肉の衰弱などの症状も現れて肝硬変から肝がんを発病する可能性も高まる。この段階では、超音波エコー検査で肝臓の肥大の程度や繊維化の状況を把握する。アルコール性の肝障害には直接効果のある治療薬は無く、断酒と食生活を含めた生活習慣の改善が、現時点では最良の治療法だ。アルコール飲料を嫌うようにする嫌酒剤という薬もあるが、使用にはアルコール依存症専門医と十分に相談する必要がある。体にいろいろなサインが出て来るので早期に対応すれば、改善が期待でき、断酒により肝機能の回復も可能だと、井廻所長は力説する。

 アルコール性肝障害の特徴として、首の付け根から胸部にかけて血管がクモの巣状に見えたり、手のひらの一部が赤くなったりする。こうした知識があれば、早めに気がつき、早期の受診が可能になる。

 ◇酒をやめる

 2016年の健康診断で肝臓に関する数値に異常が見られ、17年の健康診断でさらに数値が悪化した先輩記者が井廻所長の診察を受けた。持参した診断結果を見た井廻所長が尋ねた。「どれくらいお酒を飲んでいますか」。記者が毎日愛飲する缶酎ハイの量を答えると、「日本酒に換算すると、4~5合か。飲み過ぎですね」。

 両手を診ながら「肝硬変になると、手が赤くなります」と解説。シャツを上げ胸を診た後、ベッドでお腹の触診を行った。

 見立てはどうか。「後日、血小板の数値などを調べるために改めて血液検査をしますが、お酒をやめましょう」。記者が「良い薬はありませんか」と聞くと、「ありませんね」と諭した。飲酒は生活に深く食い込んだ生活習慣だけに、やめるのはなかなか難しい。「本人の努力はもちろん、家族の協力が欠かせない。アルコール依存症ではない、と診断され一度断酒に成功した患者でも、多くは数年のうちに飲酒を再開してしまう、といわれる。治療の継続をどう担保するかも重大な課題だ」と、井廻所長は指摘している。(喜多壮太郎・鈴木豊)

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