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肝硬変・肝がんを予防する=ウイルス性以外の障害に注意

 肝臓は、栄養物の合成・貯蔵やアルコールなどの有害物質の分解、解毒、胆汁の分泌など生命活動に欠かせない役割を担う臓器だ。しかし、機能が低下してもなかなか自覚症状が表れないために、放置していると慢性肝炎から肝硬変、肝がんに進行してしまう恐れがある。自治医科大学や昭和大学の教授を経て新百合ケ丘総合病院(川崎市)消化器・肝臓病研究所所長を務める井廻道夫(いまわり・みちお)氏は、早期の発見と治療の重要性を訴えている。

 かつては、集団予防接種での注射針の使い回しや、輸血などで拡大したB型またはC型の肝炎ウイルスによる感染性の肝炎に注目が集まった。その後、啓発活動や治療の進歩などによって「現在では、アルコール性の肝機能障害と脂肪沈着による肝機能障害の早期発見・早期対応がより大切になっている」と井廻所長は話す。

 ◇生活習慣の乱れから

 このうち非アルコール性の脂肪沈着による脂肪肝は、生活習慣の乱れから脂肪が肝臓に過剰に蓄えられた状態で、以前は大きな害はないとされてきた。しかし、井廻所長は「中には肝硬変を経て肝がんに進展したり、多くはないが肝硬変の段階を飛び越えて肝がんを発症したりすることもある」と指摘。「油断せずに早期の発見と生活習慣の改善や運動の励行などの予防に取り組みたい」と言う。 

 ただ、肝臓に脂肪が沈着しただけで必ず肝機能障害になるわけではない。診断はまずB型やC型の肝炎ウイルスに感染していないことを確認した上で、診察の中でアルコール性肝障害でないことを確認する。その上で肝臓の機能の指標となるASTやALTという酵素の血中濃度に異常があるかどうかで判断する。「ASTやALTが正常値であれば心配することはない。規則正しい生活と適度な運動で十分だ」

 

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