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「一人酒」はアルコール依存症の要注意サイン=患者への望ましい対応は―成瀬暢也埼玉県立精神医療センター副院長


 ◇若い女性の飲酒リスクに懸念も

 近年、アルコール依存症の専門家の間で懸念されている問題の一つに、若い女性の飲酒リスクがある。昨年の国民健康・栄養調査によると、生活習慣病のリスクを高めるアルコール量を摂取している女性の割合は9.1%で、5年前より1.6ポイント多かった。男性の割合(14・6%)に有意な変化が見られないのに対し、明らかに増加傾向だ。

 「女子会」が盛んで、若い女性をターゲットにした酒のコマーシャルも当たり前の時代。既に08年の厚生労働省研究班の調査で、女性の飲酒者の割合が20代前半で男性を上回ったという報告も出ている。

 

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 女性は男性と比べ、「お酒に弱い」体質。同じ飲酒量でも、体格差に応じて肝臓が小さいためアルコールの分解速度が遅く、血液中のアルコール濃度が高くなり、早期に依存症になりやすい傾向がある。アルコール性肝障害が進行して肝硬変になるのも、男性より早いとされる。

 成瀬副院長によると、同センターを受診する女性のアルコール依存症患者は30代から始まる。「主婦なら、子どもたちが大きくなって自分の手を離れ、ぽつんと取り残されたという空虚感から飲酒し、患者になるのが典型的な例。こうしたきっかけは、うつ病などの精神疾患と変わらない」

 他にも、子育てや夫婦仲、嫁・しゅうとめの関係など、原因となるストレスがはっきりしているケースが女性には多い。「近所の井戸端会議や友人とのランチなどで、酒を飲まなくてもストレス解消できる人はいいが、そういう場所に入れない人が依存症に陥るリスクが高い」という。

 成瀬副院長は「妊娠中や授乳期の飲酒が子どもに与える悪影響を知らない若い女性が多い」ことも心配する。アルコールが胎盤を通じて赤ちゃんに入ると、脳の障害や体の発育の遅れ・奇形などを引き起こすリスクがあるため、妊娠したら禁酒するのは常識だ。

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