子どもの受動喫煙防止の徹底を=東京、来春から新条例施行
弁護士としてたばこ問題に取り組み、今回の条例案作りを進めた岡本光樹都議は「受動喫煙を子どもが自分で避けるのは困難。児童虐待と共通性がある問題だ」と指摘する。
新条例は、子どもに受動喫煙をさせないよう努めることを「都民の責務」とうたう。たばこを吸おうとする人に対し、「子どもと同室の空間」「子どもが同乗している自動車」で喫煙しないこと、「公園や広場」「学校周辺や小児医療施設周辺」で子どもの受動喫煙を防止することなどを求めている。
保護者には、家庭内外での子どもの受動喫煙防止を要請。家族ドライブ中に車内でたばこを吸ったり、分煙が進んでいない飲食店などの店舗・施設に子どもを連れて行ったりするのも駄目、ということだ。
私的な空間で禁煙の努力義務を課す条例は全国で初めて。都議会の議論では、「法が家庭の問題に立ち入るのは慎重に」と反対意見が出たものの、賛成多数で可決した。岡本都議は「罰則付きではないが、まずは啓発が進んでほしい」と期待する。
子どもにとって、受動喫煙リスクは将来の健康問題だけにとどまらない。先の厚労省研究班の推計によれば、受動喫煙(胎児期の親の喫煙を含む)が原因となった乳幼児突然死症候群(SID)の死者も年間73人ほどいると考えられており、親は妊娠中からたばこの影響への注意が必要だ。「喫煙者のいる家庭で受動喫煙した乳児の尿から、ニコチンが検出されたという研究報告もある」と村松院長。
煙の中にはアレルギーを誘発する物質も入っているため、子どもはぜんそくにもなりやすくなる。また、唾液の成分が変化して虫歯になりやすくなる、耳管の働きが悪くなって中耳炎にかかりやすくなる、といった思いもよらないリスクも疑われているという。受動喫煙がなくなれば、こうした子どもの病気が減る可能性は十分にある。
(2017/11/26 15:24)