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子どもの受動喫煙防止の徹底を=東京、来春から新条例施行

 ◇禁煙治療が後押しする「卒煙」

セミナーで禁煙治療の実情を紹介する村田千里医師
 子どものために禁煙しようと思ったら、思い切って病院の禁煙外来などで治療を受けるのも一つの手。習慣的なヘビースモーカーは、ニコチン依存症という病気だ。野村総合研究所産業医で禁煙治療に取り組む村田千里医師は、「患者には『やめたい、でも吸いたい』『分かっちゃいるけどやめられない』という気持ちがある」と話す。

 ニコチン依存症になると、体内のニコチン血中濃度の推移に、気分が大きく左右される。血中濃度が下がるとイライラし、たばこを吸う。そうして血中濃度が上がると、脳内のドーパミンという神経伝達物質が増えて、満足感や覚醒感などを得られる。その繰り返しだ。

 標準的な禁煙治療では、患者は3カ月に5回診察を受ける。ニコチン依存症の判定テストが5点以上、1日の平均喫煙本数×年数が200以上(35歳以上のみ)といった条件をクリアすれば、年1回に限って保険適用による治療がスタートする。費用は保険による自己負担額が3割の患者で1日当たり約230円だ。

 禁煙補助薬は3種類あり、医師が処方する場合は患者に応じて決める。上腕などの皮膚に1日1回、8週間貼るニコチンパッチは、ニコチンをある程度体内に取り入れることによって、禁煙による禁断症状を抑える。その点はニコチンガムも同様だ。ともに一般用医薬品(OTC)としても市販されている。

 飲み薬のバレニクリンは、脳内のニコチン受容体と結合してニコチンの作用を遮断し、ドーパミンの放出を抑制する効果がある。服用は1日2回、12週間続けることが必要だ。患者はたばこがおいしく感じなくなるといい、当初はたばこを吸いながらの服用でよい。

 患者には「たばこを吸うとほっとする」「口がさみしい」といった心理的な依存もある。村田医師は診療の面談では、「1本も吸っては駄目」といった指示・命令や非難を避け、「娘が『パパくさくない!』と言ってくれた」「カラオケで声が通るようになった」などといった「禁煙できている、続けたい」言葉に注目し、禁煙を頑張りたい気持ちを支えるよう努めているという。

 日本のたばこ対策は国際的な規制の流れからは大きく遅れている。国は20年の東京五輪・パラリンピックなどをにらみ、飲食店などの屋内を原則禁煙として罰則を設ける健康増進法改正を検討しているものの、足踏み状態。だが、東京都の新条例は先行指標になりそうで、「卒煙」を考えるなら、良いきっかけになるかもしれない。(水口郁雄)

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