インタビュー

ギャンブル依存は病気、回復可能=目指すは治療プログラムの普及
 松下幸生・国立病院機構久里浜医療センター副院長

 「ギャンブル障害は回復可能な病気。本人はもちろん、家族や周囲の人も早めに症状に気づき、受診に結び付けてほしい」。アルコール・薬物からインターネットまで、さまざまな依存症対策の拠点になっている国立病院機構久里浜医療センターの松下幸生副院長は、ギャンブル依存症への適切な治療と支援の必要性を強調する。国内にカジノを解禁する環境整備の一環として国も対策強化へと動く中、松下副院長に治療の現状と今後の展望などを聞いた。

 ◇依存経験率は推定3・6%

 ギャンブル依存の人はどのくらいいるのか。厚生労働省は昨年9月、全国300地点の男女1万人を対象に面接方式で実施された疫学調査の中間まとめを公表した。有効回答率は46・9%。それによると、「ギャンブル等」への依存が疑われる状態になった経験がある成人は3・6%と推定され、人口換算で320万人に上ることが分かった。

 調査研究に当たった松下副院長は「過去1年以内の経験だと0・8%(人口換算で70万人、平均年齢46・5歳)で、海外よりも高いというほどではないが、生涯の間の経験率はかなり高い」と指摘する。特に男性の場合、生涯経験率は6・7%と、女性の0・6%を大きく上回る。

 ここで言う「ギャンブル等」には、株式などへの投資や宝くじも含まれているが、最も金をよく費やした対象については「パチンコ・パチスロ」という回答が多く、全体の78%を占めた。「久里浜医療センターに来る患者もパチンコ関係が過半数。パチンコ店が全国どこにもあり、いつでも利用できる環境がある日本の特徴が反映されている」と松下副院長は話す。

 ギャンブル依存関係で同センターを受診する人は20~30代が中心。男女比は9対1で男性が圧倒的に多い。10代の終わり頃に友人との付き合いでギャンブルを覚え、就職してお金が自由になるとのめり込み、借金がかさんで泥沼にはまってしまう―。そんな息子に親が危機感を持ち、一緒に来院するのが典型的なケースだ。

 「人によっては、結婚して自由に使えるお金が少なくなった後、妻に隠れてやっているところを見つかり来院するパターンもある」。会社の金を横領するなど、犯罪に手を染めてしまってからようやく、治療を始める人もいる。

 米アトランティックシティーのカジノのスロットマシーンで遊ぶ女性。日本政府もカジノを含む統合型リゾート(IR)の国内導入を目指す(AFP=時事)

 パチンコ・パチスロでも100万円単位の借金を重ねている人は多く、競馬では短期間に1000万円以上の「赤字」に陥ってしまった人も。最近は外国為替証拠金取引(FX取引)に退職金をつぎ込んでしまった人も目立つという。

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