治療・予防

水虫との合併も―異汗性湿疹
症状の出方を確認し受診を

 「異汗性湿疹」は「汗疱(かんぽう)性湿疹」とも呼び、手のひらや足の裏などに小さい水膨れができ炎症を起こす病気で、こうした場所に汗をかきやすい人に多い。水虫と区別がつきにくく、両者が合併することもある。仲皮フ科クリニック(埼玉県川越市)の仲弥院長は「治りにくい水虫は、異汗性湿疹が関連しているかもしれません」と注意を促す。

 ▽手足にかゆみや痛み

 異汗性湿疹は、手のひらや指の横、足の裏に小さな水膨れがいくつもでき、赤くなったりかゆくなったりする。皮膚がひび割れて痛くなることもあり、洗剤などの刺激で悪化しやすい。接触性皮膚炎を合併することもある。

手袋や靴下などで悪化防止を
 手をよく使う人に多い「手湿疹」とも間違われやすく、仲院長は「慢性化するとなおさら区別がつきにくいので、経過を見ないと診断がつかないことがあります」と説明する。

 特に足の異汗性湿疹の症状は水虫とよく似ている。異汗性湿疹ができやすい場所と、水虫の原因である白癬(はくせん)菌が好む場所が重なるため、異汗性湿疹と水虫は合併しやすい。

 検査をすると白癬菌が検出されるので、水虫の薬を処方されるが、異汗性湿疹に水虫の薬は刺激が強く、かえって悪化させてしまうことがある。「異汗性湿疹と水虫の合併があることを知らない医師も多く、薬が効かないからとさらに強い薬が処方され、悪循環を招いてしまうことが多くあります」と仲院長。

 両者が合併している場合は、水虫は飲み薬、異汗性湿疹は塗り薬で治療すると、二つの薬が干渉し合うこともなく効果が発揮されるという。

 ▽綿の手袋や靴下で対策

 異汗性湿疹は自律神経や金属アレルギーとの関連も指摘されているが、発症のメカニズムはよく分かっていない。子どもから大人まで年齢に関係なく発症し、症状が出る時期も人それぞれ違う。

 再発を繰り返すことも多く、症状が出たら消毒薬の使い過ぎや手の洗い過ぎに気を付けたい。洗剤を使う際は、木綿の手袋をした上からゴム手袋をするなどして悪化を防ぐ。足の場合は、綿の靴下をはくなど汗がたまらないようにするとよい。

 仲院長は「重症化する場合もあるので、皮膚科を受診する際は、どんなときに症状が出るかを確認しておくと、診断に役立ちます」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)


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