治療・予防

クローン病、若者中心に増加
食事療法が重要

 若者に多くみられる炎症性腸疾患の一つ「クローン病」。厚生労働省の指定難病で、患者数は増加傾向にある。根本的な治療法がないため、薬物治療の他、毎日の食事内容の改善が重視されている。若草第一病院(大阪府東大阪市)の北野厚生名誉院長に食事療法について聞いた。

 ▽症状に合わせ栄養摂取

日々の食事で症状をコントロール
 クローン病は、小腸と大腸を中心に炎症や潰瘍を生じる病気だ。症状は腹痛、下痢、発熱、倦怠(けんたい)感の他、腸の壁に穴が開く穿孔(せんこう)やうみの塊である膿瘍(のうよう)の発生などがある。原因は不明だが、薬物療法と食事療法による症状のコントロールが治療の中心になる。

 症状が悪化する増悪期には、腸を安静に保ち、食事からの刺激を取り除くために絶食する。その間は、点滴などで栄養を摂取しながら、薬で炎症を抑え、症状が軽くなる「寛解」状態を目指す。しかし、症状がいったん落ち着いても、食べたものによっては腸管が刺激され、悪化する場合がある。そのため、北野名誉院長は「寛解期でも食事療法が重視されます」と強調する。

 寛解期の食事療法としては、1日に必要な摂取カロリーの半分は食事で取るが、もう半分は、脂肪量の少ない、アミノ酸を主体とした粉末成分栄養剤で取る。成分栄養剤は成分が明らかな上、消化が不要なため、腸管に負担をかけない。

 ▽一人で悩まず相談を

 食事では、炎症を悪化させる脂質の多い牛肉や豚肉、食物繊維を多く含むもの、ガスの発生しやすい豆類や芋類などは避ける。「クローン病患者には魚、食物繊維が少なめの野菜、米、みそを中心とした食事が適しています。魚の脂質には炎症を抑制する働きがあり、発酵食品であるみそは腸内環境の改善が期待できます」と北野名誉院長。ビタミンや亜鉛、鉄分、セレンなど、不足しやすい栄養素はサプリメントなどで補う。

 クローン病は若い年代での発症が多く、日々変化する体調や毎日の食事に気を使わなければならないため、患者が抱える不安は大きい。北野名誉院長は「一人で悩まず医師や栄養士に相談してほしい。すぐ命に関わるものではないことなど、この病気について家族も一緒に理解し、病気とともに上手に生きてほしい」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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