治療・予防

50代の筋力低下に注意
多発性筋炎・皮膚筋炎

 体の中に細菌やウイルスが侵入しても、免疫機能がこれらを外敵と認識し、排除してくれる。しかし、この免疫機能が自分自身の正常な細胞を攻撃してしまうのが自己免疫疾患だ。筋肉が炎症を起こして力が入らなくなったり、疲れやすくなったりする「多発性筋炎・皮膚筋炎」も自己免疫疾患の一つだ。大阪はびきの医療センター(大阪府羽曳野市)の田中敏郎副院長に話を聞いた。

 ▽筋肉や皮膚にダメージ

筋力が低下、立ち上がるのがつらくなる

 多発性筋炎・皮膚筋炎は、免疫に関わる白血球やリンパ球などが筋肉や皮膚を攻撃する慢性疾患だ。原因が分からないため、指定難病の一つとなっている。毎年新たに1000人から2000人の患者が発生。女性に多く、50代での発症が目立つ。

 全身の症状としては、倦怠(けんたい)感や食欲不振、体重減少などがあり、発熱することもある。体を動かす骨格筋に炎症が起こり、手足や体幹、首、喉の筋力が低下する。そのため、しゃがんだ姿勢から立つ、物を高く持ち上げる、階段の上り下りといった動作が難しくなる。進行すると呼吸や飲み込む機能が弱まり、窒息死や誤嚥(ごえん)などを招く危険がある。

 皮膚症状ではまぶたや指の関節、肩から背中にかけて赤色を帯びる「紅斑」が現れやすい。指や肩の紅斑は、皮膚があかのようにぼろぼろと剥がれるのが特徴だ。

 ▽薬で治療、リハビリも

 多発性筋炎・皮膚筋炎が疑われる場合は、筋肉の炎症反応や抗体の検査が行われる。最近では一般の病院でも簡単な検査ができるようになり、検査結果からこの病気の可能性が強いことが分かった場合は、専門病院で精密検査を受ける。田中副院長は「一般の人と比べてがんの発症率が2~3倍高く、がんを合併しているケースが多いため、同時に全身のがん検査も行います」と説明する。

 治療は、ステロイド薬や免疫抑制薬などを使って免疫反応を抑える。炎症が治まったら、筋力を回復するためのリハビリにも取り組む。

 「多発性筋炎・皮膚筋炎患者の約半数が間質性肺炎を合併し、急速に進行すると呼吸不全で亡くなることもあります。心当たりがないのに1週間以上筋肉痛が続く、椅子から立ち上がりにくくなったなどの症状があったら、すぐ専門医を受診してほしい」と田中副院長は促している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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