多発性筋炎・皮膚筋炎〔たはつせいきんえん・ひふきんえん〕

 この病気は、全身の横紋(おうもん)筋に炎症をきたし、筋力低下と筋萎縮をきたす病気です。皮膚に紅斑(こうはん)をみることがあり、この場合、皮膚筋炎と呼ばれます。40歳以上の中高年に多くみられますが、子どもにも発病します。日本ではやや女性に多く、男女比は1対2~3です。原因はまだ不明ですが、ほかの膠原(こうげん)病と同様に病気にかかりやすい体質・素因があって、これにウイルスなどの誘因が関与すると考えられています。
 40歳以上では悪性腫瘍の合併を高頻度にみます。この病気には、①大人の多発性筋炎、②大人の皮膚筋炎、③悪性腫瘍を伴う筋炎、④子どもの筋炎、⑤ほかの膠原病を伴う筋炎(重複症候群)、の5つの病型がみられます。また、特殊な病型に、高齢者にみられる封入体性筋炎があります。

[症状]
 多くは最初の発症時に筋力がおちることで気がつきます。時に、発熱、関節痛、筋痛、紅斑(こうはん)、体重減少などが先行することもあります。筋炎は、肩の周囲や上腕、頸(けい)部、大腿(だいたい)部などのおもにからだの中心部に近いところがおかされるのが特徴です。筋肉の障害部位やその程度をみるために、筋電図や筋生検による病理学的組織検査がおこなわれます。
 皮膚病変がみられる場合は、上まぶたに浮腫を伴った紫紅色の紅斑(ヘリオトロープ疹)や、手指や手などの関節の背部(伸側)に紅斑(ゴットロン徴候)がみられます。
 内臓病変では、間質性肺炎・肺線維症、心筋炎、嚥下(えんげ)障害、消化管障害、血管炎などを伴うことがあります。急性の間質性肺炎では、筋症状が軽いにもかかわらず急速に進行する場合もありますので注意が必要です。


[検査所見]
 赤沈亢進(こうしん)、CRP(C-reactive protein)陽性とともに、血中の筋肉由来の酵素(クレアチンキナーゼ、アルドラーゼなど)が高値を示します。病気に特徴的な抗核抗体は抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体で抗Jo-1抗体が代表的です。

[診断]
 次の基準(厚労省研究班、2015年)が用いられます。
 1.皮膚の症状
  a.ヘリオトロープ疹と呼ばれる眼瞼(がんけん)部の紅斑
  b.ゴットロン丘疹(きゅうしん)と呼ばれる手指背面の丘疹
  c.ゴットロン徴候と呼ばれる手指関節背面および四肢関節背面の紅斑
 2.上肢または下肢の身体にちかいところの筋力低下
 3.筋肉痛
 4.血液の検査で、クレアチンキナーゼという筋肉由来の酵素がふえている
 5.筋電図で検査すると筋肉の障害がみられる
 6.骨の破壊を伴わない関節炎
 7.全身の炎症所見(発熱、CRP上昇、または赤沈亢進)
 8.抗アミノアシルtRNA合成酵素(抗Jo-1抗体など)陽性
 9.筋肉を顕微鏡で調べると典型的な所見がみられる
 1.の皮膚症状のどれかを有し、2.から9.までの項目のうち4項目を満たすと皮膚筋炎と診断診されます。いっぽう、2.から9.までの項目のうち4項目を満たし、皮膚症状のない場合には多発性筋炎と診断されます。

[治療]
 この病気の主たる治療薬は副腎皮質ステロイド(ステロイド)と免疫抑制薬ですが、ステロイドで十分効果がみられない場合に免疫抑制薬を併用します。
 悪性腫瘍がみとめられれば、外科的に摘出術をおこないます。
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