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「頓服(とんぷく)」という言葉の意味をご存じでしょうか。国立国語研究所の調査によれば、頓服の意味を「痛み止め」だと誤解している人が34.1%、「解熱剤(熱冷まし)」だと誤解している人が33.4%いる、とされています。
では、「食間」はどうでしょうか。「薬を食間に内服してください」と言われたら、「食事の最中」だと誤解してしまう人もいます。
「薬の飲み方」には、一般的にはあまり使われない専門用語が、詳しい説明なしに使われているという問題があります。今回は、これらについて簡単に解説しましょう。
薬は定められら用法、容量を守るとともに、用語もきちんと理解しよう
◇二つのタイプ
薬には、大きく分けて二つのタイプがあります。定期的に使用する定期薬と、必要時に使用する頓服です。
定期薬は「1日3回毎食後」「1日1回眠前」のように、毎日決まったタイミングで定期的に使用する薬のことです。病院で処方する薬の多くはこちらのタイプで、指示された通りに使用しなければ、十分な効果を発揮できません。
例えば、抗菌薬(抗生物質)は1日1回のものから1日複数回の使用が必要なものまで、種類に応じて飲み方が異なります。
糖尿病や高血圧、脂質異常症(コレステロールや中性脂肪が高い病気)などの生活習慣病に対する薬も全て、定期的に内服することで、日常的に体の状態をコントロールしておく必要がある薬です。
一方で、「必要な時だけ使用する」というタイプの薬があります。これが頓服です。
例えば、
・痛みがある時にだけ使用する痛み止め(鎮痛薬)
・眠れない時にだけ使用する睡眠剤
・吐き気がある時にだけ使用する吐き気止め(制吐剤)
・便秘の時にだけ使用する便秘薬(緩下剤)
・発熱時のみ使用する熱冷まし(解熱剤)
・不整脈の発作時のみ使用する不整脈薬
など、実にさまざまな用途に応じた薬があります。
症状がある時にだけ使用する薬が頓服なのです。
飲み薬以外にも、座薬や貼付剤(貼り薬)、注射薬など、薬にはさまざまな投与方法がありますが、これらの用途についても同じことが言えます。飲み薬以外の場合は「頓用(とんよう)」という言葉を使うのが一般的です。
いずれにしても、頓服は薬の「種類」ではなく、薬の「飲み方」を指す用語である、という点に注意が必要です。
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