新米医師こーたの駆け出しクリニック

「薬に頼るのは悪いこと」と思わないで
~高血圧・高血糖・高脂質で先送りは危険~ 専攻医・渡邉 昂汰

 高血圧糖尿病、脂質異常症などの、生活習慣によって改善可能な慢性疾患を抱える人は、年々増えており、私の外来にもたくさんいらっしゃいます。

薬を飲み始めたからといって、一生、飲み続けなければならないとは限りません【時事通信社】

 病気の状況によっては内服を勧めるのですが、「一度飲み始めると一生飲まないといけなくなるから飲みたくない」と言われることがしばしばあります。

 
 ◇飲まなかったらどうなる?

 「生活習慣の改善で粘りたい」「まだそんな年齢じゃない」と、薬を飲まなかったら、どうなるのでしょうか。

 高血圧、高血糖、高脂質にさらされる期間が長くなればなるほど、体への見えないダメージは蓄積されていき、ぼろぼろになった血管は、心筋梗塞や脳卒中などを引き起こします。

 ひとたび、致命的な疾患を発症してしまえば、運良く生還しても、元の生活には戻れなくなる可能性も十分あります。
 
 ◇薬は身体の足りない機能を補う

 「生活習慣が原因なのだから、生活を変えれば良くなるはず!」と、お考えの人もいるかもしれません。

 しかし、これらの疾患は遺伝的な要素や加齢が大きく関係しており、生活習慣の改善だけでは難しい場合も多いのです。

 薬に頼ることは悪いことだと思わず、自分の力だけではどうしても足りない部分を薬に助けてもらう、という考え方をしていただければと思います。
 
 ◇減薬・中止を目指せることも

 本当に、一度飲み始めたら、一生飲まないといけないのでしょうか。当然、必ずしも、そうと決まっているわけではないのです。

 例えば、食事運動療法を続けて、どんどん体重を落としていけたときなど、時間はかかりますが、ゆくゆくは減薬、そして中止できることもあります。

 内服と並行することで、血管障害が進行するのを食い止めることができるため、やはり早期内服には大きなメリットがあるのです。

 徐々に身体がむしばまれている状態にもかかわらず、介入を先送りにし、健康寿命を短くしてしまっている人が、一人でも減ることを願っています。

(了)


 渡邉 昂汰(わたなべ・こーた) 内科専攻医および名古屋市立大学公衆衛生教室研究員。「健康な人がより健康に」をモットーにさまざまな活動をしているが、当の本人は雨の日の頭痛に悩まされている。

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