治療・予防 2024/11/21 05:00
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高齢者が急におなかが痛くなり、下痢をした場合、動脈硬化や便秘が原因の虚血性大腸炎を起こしている場合がある。札幌医科大学付属病院(札幌市)消化器内科の仲瀬裕志教授に話を聞いた。
便秘も虚血性大腸炎の原因になる
◇血流低下が引き金
大腸への血流が低下することで生じる病気で、急に腹痛に見舞われ、次いで下痢、血便が生じ受診することが多い。患者の8割を高齢者が占め、残り2割は比較的若年で便秘がある人など。患者の約6割に、高血圧、糖尿病、脂質異常症といった基礎疾患があるのが特徴だ。
こうした基礎疾患に長くかかっていると、動脈硬化と呼ばれる状態が生じ、全身の血流が悪くなったり、血管内部の壁が傷んで血の塊ができやすくなったりする。そのため、大腸粘膜に送られる血流が不足し、おなかが痛くなる。大腸の粘膜が炎症を起こし、ただれて出血することもある。
年齢を問わず、便秘も虚血性大腸炎の原因になる。腸内に硬い便がたまることや、それを排出しようといきむことで大腸の粘膜が圧迫され、血流が悪くなる。
腹痛や下痢は、大腸の病気の症状としてよくあるので、腹部CT(コンピューター断層撮影)や大腸内視鏡検査で他の病気と見分けるという。
◇便秘や基礎疾患を管理
大腸の血流低下は一時的なため、ほとんどの患者は2~3日以内に自然に症状が改善し始め、2週間以内に治る。
症状があれば、「基本的には医療機関を受診するのがよいでしょう。腹痛や下痢・下血症状が重いときや数日たっても軽快の兆しが見られない場合は、要注意です」。診察の結果、症状が重症で、異常な血液検査値などが出れば、入院が必要なこともある。絶食して腸管を休ませ、水分や栄養素は点滴で補給する。
「大腸の健康を保つには、適切な量の水分と食物繊維を取り、便通を良くしておくこと。それに加え、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの治療を続けることです」と仲瀬教授は助言する。どの程度の水分が適量かは人によって異なるので、基礎疾患がある人はかかりつけ医師に相談するとよいという。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/06/28 05:00)
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