FEATURE レポート紹介

BLSの発信と普及。
MeLSCだからできることは、きっとある

名古屋市立大学 医学部4年 小峠和希さん

名古屋市立大学 医学部4年 小峠和希さん

「早く医学を学びたい」
その意欲が突き動かす

BLSとは「Basic Life Support」の略称。一次救命処置を意味し、急に倒れたり、窒息を起こしたりした人に対して、その場に居合わせた人が医師や救急隊に引き継ぐまでに行う救命処置を指す。
呼吸の確認や胸骨圧迫(心臓マッサージ)などで、専門的な器具や薬品は必要としない処置である。名古屋市立大学公式サークルMeLSC(メルシー)では、こうしたBLSを中心にさまざまな救急活動の普及を目指して活動している。

「BLSを行った場合とそうでない場合では、救命率が大きく異なる研究データが発表されています。BLSはALS(※医師や看護師など有資格者が行う二次救命処置)に繋ぐまでに欠かせない、重要な救命処置です」

そう話すのはMeLSCの部長を務めてきた小峠君だ。入部した経緯を聞くとこう振り返る。

「医学部に入学したのはいいものの、1年生の授業は一般教養科目が中心で、医学について学べる機会がほとんどないんですよね。それが非常にもどかしくて…。それでMeLSCの存在を知って入部しました」

現在の部員数を聞くと、「サークルを掛け持ちしている部員もいますし、全員が熱心に参加しているわけではないですが」と前置きした上で「100名以上は在籍しています」と答える。学生たちの知識欲と向上心に驚かされる。

「医学部の学生が約8割を占めています。僕のように『医学を学びたいのに学べない現実がもどかしい』という1年生は多いはず。それが100名超という数字になって現れているように思います。BLSは、まだ医師ではない僕たちでも学ぶことができ、さらに実践もできる。つまり誰でもできる救命処置です。その響きに惹かれましたね」

学び、教え合うサイクルを確立できたこと。

学び、教え合うサイクルを
確立できたこと。

MeLSCでは、まずは自分たちがBLSの知識を身につけることから始まる。月に2回のペースで勉強会を開催し、医・薬・看護それぞれの学生が講師となって、授業で学んだ救命救急をベースに講義を行っている。

「医療ドラマで見たことのあるような専門機器を使うので、初めて参加する人はちょっとした興奮を覚えると思います。MeLSCでは、名古屋市立大学病院の救急の先生がサポートしてくれているのですが、基本的には2・3年生が1年生にBLSや大学で学んだ救命救急の知識を教えています。自発的に先輩が後輩に伝えていく。部長を務めてきて、そのサイクルを確立できたことがとても嬉しく思っています」

インプットとアウトプットを繰り返すことで吸収も早くなる。教えるほうには自覚が芽生え、学ぶほうもいずれ教える立場になるので真剣になる。こうした好循環がMeLSCの基盤となっている。
もちろん、普段の生活の中で救命救急を要するケースに遭遇することはそうそうない。しかし、万が一はやはりある。

「以前、MeLSC所属の3年生が名古屋駅で倒れた方に遭遇し、急いでBLSを行いました。それから救急隊へスムーズに引き渡すことができました。一連の行動は大学から表彰されましたが、当然、それが目的ではありません。目の前に救命救急を必要とする人がいるなら迷わず行動に移せる。これから医療従事者になろうとする自分たちにとって、これこそあるべき姿だと思っています」

誰でもできる救命処置だから、もっと伝えたい。
誰でもできる救命処置だから、もっと伝えたい。

誰でもできる救命処置だから、もっと伝えたい。

学び、教え合う活動は自分たちの大学内だけにとどまらない。

「2017年3月には全国各地の大学の救急サークルを名市大に招いて、救急のイベントをMeLSCが主宰します。2年前から企画してきた100人超が参加する大きなイベントで、2日間でBLSを知らない学生たちに覚えてもらうのが目的です。救急サークル同士で交流を深めるのも目的ですね」

MeLSCの活動は非常に活発だ。ただ、満たされない思いもある。このイベントでもBLSを覚えてもらう対象は学生である。小峠君は、BLSをもっと多くの人たちに伝えたい感情を隠さない。BLSは「誰でもできる救命処置」だから。

「現在は、消防団が地域の方にBLSを教える際、お手伝いとして参加しています。でも、もっと一般の方にBLSを広めていきたいし、そういう機会を自分たちで生んでいきたい。それがMeLSCの役目だと考えています。例えば小学校や中学校の避難訓練に参加するとか、高齢者を持つご家族の方にBLSを教えるイベントの開催とか。もちろんハードルはあると思います。それを少しずつで構わないからクリアし、行政の方や消防団の方とさらなる関係を築いて、社会に貢献できる活動をしていきたいですね」