一流に学ぶ 減量手術のパイオニア―笠間和典医師

(第5回)
最初の患者は体重130キロ
難易度高い手術へ挑むと決意

笠間和典氏が勤務していた堀江病院の外来にやってきたブラジル人女性は30代後半で、身長約175センチ、体重130キロ。体格指数(BMI)が42の重症肥満だった。

「ここまで太った患者さんに会うのは初めてでした。動くのがつらい、何をするにも不自由で困っているという話でしたが、血圧も高く、健康状態が悪化していくのは明らかでした」

ブラジルでは減量手術が盛んに行われているという話を聞いて、笠間氏はインターネットで自分なりに調べてみることにした。

「重症肥満の減量手術は欧米では1950年代から行われ、94年には腹腔鏡での胃バイパス術も実施されていました。ブラジルは米国の次に減量手術が盛んに行われている国でした。ところが、その情報が日本には全く入ってきていないことに驚きました」

胃バイパス手術とは、胃を20~30ミリリットル程度の容量分だけ残して小腸につなぐもの。術後は少量の食事摂取で満腹感が得られるようになる。小腸の長さを肥満度に応じて変え、栄養吸収を悪くすることにより、エネルギーの取り込み量をさらに少なくすることもでき、減量が可能となる。

「その患者さんはすごく行動的な人で、減量手術を受けた人、受けたい人のメーリングリストを管理していたんです。ブラジル人の医師も紹介してくれるというので、片端からメールを送ってみると、4人から返事が来て、ビデオを送ってくれた医師もいました」

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